軽量Linuxは、USBメモリーなどのメディアから簡単に起動でき、低スペックのパソコンでも快適に使える。この特集では、8種類の軽量LinuxをTPO別に厳選して紹介する。
さまざまな用途向けに開発されているLinuxディストリビューション(以下、ディストリ)。「軽量Linuxディストリ」もその一つで、不要な機能やアプリをそぎ落とし、軽快に動作することを追求したタイプのディストリです。以下では、他より比較的軽量なディストリも含めて「軽量Linux」と呼ぶことにします。
本特集は、無数にある軽量Linuxのうち、米Google社が開発し2022年7月に正式公開した「ChromeOS Flex」や、世界的に非常に高い人気を誇る「MXLinux」など特に注目度が高くオススメのものを8種類厳選して紹介します(表1)。どれもUSBメモリーに書き込んで起動することが可能で、持ち運んで使えるほか、多くはPCにインストールして常用することも可能です*1。8種類の中から自分の利用環境や用途にピッタリの軽量Linuxを見つけ出して使ってみてください。
「永続化機能」でファイルを保存
本特集で紹介する軽量Linuxはすべて、OSの設定変更内容や追加したアプリ、ユーザーが保存したファイルなどを起動したUSBメモリー自身に保存できる「永続化(Persistence、パーシステンス)」機能を搭載しています。
永続化機能の一般的な仕組みを簡単に見ておきましょう(図1)。外部メディアからライブ起動するディストリは、ベースとなるディレクトリーツリーを読み込み専用で配置します。この状態ではファイルを変更することはできません。そこで、ベースのディレクトリーツリーに重ねた状態に配置し、変更内容などを記録しておくスタック可能なファイルシステムを別途用意します。
多くの軽量Linuxでは、このスタック可能なファイルシステムをメインメモリー上に配置し、再起動やシャットダウンなどのタイミングでメインメモリー上の更新されたファイルだけをUSBメモリーに保存する仕組みとなっています。これにより、USBメモリーへの書き込み回数を減らして高速化を図れるほか、更新されたファイルのみを保存するため容量も節約できるという利点があります。