軽量Linuxは、USBメモリーなどのメディアから簡単に起動でき、低スペックのパソコンでも快適に使える。この特集では、8種類の軽量LinuxをTPO別に厳選して紹介する。
開発元▶米Google社
Webサイト▶https://chromeenterprise.google/os/chromeosflex/
最近、米Google社の「ChromeOS」を搭載したChromebookが人気です。実売2万円程度からと低価格で購入でき、数秒で起動して軽快に動作します。Google社の各種サービスを中心に使うなら十分な性能を持っており、操作や管理の容易さから子供の入門向けPCとしてもよく利用されています。
「ChromeOS Flex」は、このChromeOSと同様な機能を一般的なPCへインストールできるようにしたGoogle社の新しいOSです。2022年7月に正式版がリリースされました。使わなくなった古いPCを復活させる目的で利用できるだけでなく、ハイスペックなPCにインストールすれば、市販製品より快適に使える高性能なChromebookに変身させることも可能です*1。
ChromeOS Flexは、仮想化技術の一種であるコンテナーを使ってLinuxを動作させる機能(以下、「Linux機能」と表記)を搭載しています。同機能を有効にすると、「Debian GNU/Linux 11」の環境が用意され、コマンドなどを実行できるようになります。さらに、GUIアプリの実行にも対応しており、ChromeOS Flex向けアプリと同じようにデスクトップ上で利用できるようになります。
ChromeOS Flexを動作させるには、米Intel社あるいは米AMD社のx86またはx64アーキテクチャーCPU、4Gバイト以上のメインメモリー、16Gバイト以上のストレージを搭載している必要があります。ただし、ハードウエアの相性などにより、どんなハイスペックのPCであっても動作しないことがあるので注意が必要です*2。実際に、筆者の所持するPCでは表1に示すように動作しないPCがありました。
豊富なLinuxアプリが使える
ChromeOSでは、Android向けアプリストア「Google Play」経由でAndroidアプリをインストール可能です。一方、ChromeOS Flexではこれができません。メニューには「Google Play」があるものの、アプリをインストールしようとしても、Googleアカウントにひも付くスマホやタブレットなどしか選択できません(図1)。
また、ChromeOSでは「Chromeウェブストア」で提供しているGoogle Chrome(以下、Chrome)向けアプリや拡張機能を導入可能です。ChromeOS Flexも同ストアを利用可能ですが、導入できるのは拡張機能だけです。
このようにChromeOS Flexは標準ではほとんどアプリを追加できないのが現状です。この状況を打破できるのがLinux機能で、Linux用のアプリを追加できるようになります。
Linuxコンテナー内では、Debianのパッケージ管理システムである「APT」を利用して、Linuxアプリの追加や削除が可能です。「LibreOffice」のようなオフィスアプリや画像編集アプリの「GIMP」など、おなじみのLinuxアプリを自由にインストールして利用できます(図2)。