全4104文字
PR

ユーザー企業がITベンダーとの付き合い方を変え始めている。背景にあるのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)やシステム内製に本腰を入れるユーザー企業が増えたことだ。DX戦略を推進するうえでITベンダーに期待するのは、「ご用聞き」として何でも言うことを聞いてくれる姿勢ではなく、共に新たなサービスを創出する「伴走者」としての振る舞いである。ITベンダーとの付き合い方を見直したユーザー企業の取り組みや、ITベンダーの伴走支援策などから、DX時代の新たな「ITベンダーとの付き合い方」を探った。

 「システム内製に力を入れて以降、ITベンダーとの付き合い方は大きく変わった」――。シャープのIT部門を率いる柴原和年ITソリューション事業部事業部長はこう語る。

 同社は2016年の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループへの参画をきっかけに、2017年から情報システムを内製する体制にかじを切った。狙いは「システム開発の主導権を社内に取り戻し、適切にコストをコントロールできるようにすること」(柴原事業部長)だ。

(出所:シャープ)
(出所:シャープ)
[画像のクリックで拡大表示]

全ITベンダーと直接手を組む

 今では売り上げに直結する基幹系システムや、業務効率化を目的にした情報系システムなど、グループ約4万8000人の従業員を支えるあらゆるシステムを内製する。一連の取り組みが奏功し、2021年は既存システムのコストが2017年と比べて半減。新規開発したシステムを加算した総額ベースでも約3割の削減を果たした。

 「内製巧者」となったシャープ。5年前に同社が内製体制の構築に向けて真っ先に取り組んだのが「ITベンダーとの付き合い方の見直し」(柴原事業部長)だ。それまでは案件ごとに元請けのITベンダーに発注して設計から開発まで全て委託していたが、シャープが2次請け、3次請けを含め全てのITベンダーと直接契約し、「シャープのIT部門の一員」として働いてもらう形に改めた。

シャープの開発体制の変化
シャープの開発体制の変化
(取材を基に日経クロステック作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 「狙いは自分たちがきちんとリスクを取って開発の責任者として立てるようにすること。システム開発は『ITベンダーにお任せするもの』ではなく、『自分たちでやるもの』という意識を明確にしたかった」。柴原事業部長はこう振り返る。

 直接発注することで、多重請負契約によって生じる「中抜き」を減らし、コストを抑える効果も期待した。取り組みを続けると「実際に手を動かせる(プログラミングなどができる)エンジニアを求めたことで付き合うITベンダーも自然と変わった」(同)。結果的に社員数200人前後の中小ITベンダーとの契約が増えたという。