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 「事業環境が変わるスピードが急速に増しているなか、ユーザー企業はデジタル施策を俊敏に繰り出し続けなければ競争力を失いかねない。つまり、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには、一定の内製開発力を備えることが望ましい」――。

 こう強調するのは、情報処理推進機構(IPA)の西本靖社会基盤センターDX推進部技術DXグループ研究員だ。西本研究員は、IPAが2022年10月26日に完成版を公開した「DX実践手引書 ITシステム構築編」の作成に携わった1人である。

 IPAは同手引書で、ユーザー企業がシステム内製に取り組むことの重要性を繰り返し強調している。ただ、「現実的にはITベンダーの力を借りる必要がある」と西本研究員。日本はITベンダー側に所属するエンジニアが多いからだ。必然的に「ベンダーとの共創関係が求められている」と指摘する。

「伴走型支援」に乗り出すITベンダー

 ユーザー企業の内製シフトを敏感に捉え、内製開発に寄り添い技術面で助言する「伴走型の支援サービス」に乗り出すITベンダーが増えている。その1社がクラウドのSI(システムインテグレーション)に強みを持つテラスカイだ。

(出所:テラスカイ)
(出所:テラスカイ)
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 同社は数年前から顧客の内製化を支援してきた。例えば内製に積極的なことで知られるカインズに対しては、2019年にデジタル組織を立ち上げたその初期から支援してきたという。

 「ユーザー企業のシステム開発は、(ITベンダーに発注する)多重請負モデルから内製化モデルに確実に変わってきている。内製化の流れは必然で、内製化支援は伸びる市場だ」(テラスカイの宮田隆司取締役副社長執行役員)。こう考えたテラスカイはそれまでの内製支援の取り組みをサービスとして組み立て、2022年7月に「内製化支援ソリューション」として提供し始めた。

 具体的には、ユーザー企業が米Salesforce(セールスフォース)のクラウドサービス群を使ってシステムを内製する際に支援するサービスだ。中心となるのは、技術支援などを担う全社横断組織である「CoE(センター・オブ・エクセレンス)」の立ち上げを支援する「CoEアドバイザリーサービス」。ユーザー企業の開発方針やスキルレベルに応じて、内製に役立つテラスカイグループの製品やサービスも提案する。