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 「多重請負構造を利用して人を集め、大型のプロジェクトを受託し、利益を上げるというIT業界のビジネスモデルは確実に厳しくなる」。IT業界の動向に詳しい、アイ・ティ・アールの内山悟志会長兼エグゼクティブ・アナリストはこう強調する。

 内山会長は続ける。「ユーザー企業によるシステム内製の動きは止まることはない。これまで大手ITベンダーが担ってきた元請けの役割をユーザー企業自らが担うようになり、元請けを不要にしている」。

 これにより、「ITベンダーは従来の受託ビジネスからユーザー企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を伴走するビジネスに転換しなければならない」(内山会長)。ただ、「大型プロジェクトで多大な利益を享受してきたITベンダーは(伴走するビジネスは売り上げが小さくなりやすく)『困ったな』と思っているのが現状だろう」(同)。

「内製を支援すると、自分たちが不要になる」

 経済産業省も同様に指摘する。2021年8月に公表した「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」の中で、ITベンダーはユーザー企業の内製化を支援することに「ジレンマがある」としている。

 具体的には、「受託型ビジネスを現業とするベンダー企業が、ユーザー企業のデジタル変革を伴走・支援する企業へと変革しようとすると、内製化への移行により、受託型ビジネスと比べて売上規模が縮小する」「ベンダー企業がユーザー企業をデジタル企業へ移行する支援を行うことにより、最終的には自分たちが不要になってしまう」といった具合だ。

経済産業省が指摘したITベンダーのジレンマ
経済産業省が指摘したITベンダーのジレンマ
(出所:経済産業省「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」に日経クロステックが赤字を加筆)
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 ユーザー企業による「システム内製」の時代に大手ITベンダーはどう対応するのか。日経クロステックは2022年11月に大手ITベンダー11社にアンケートを実施し、状況をまとめた。

 対象企業はBIPROGY(旧日本ユニシス)、NEC、NTTデータ、SCSK、TIS、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、日本IBM、野村総合研究所、日立製作所、富士通で、全社から回答を得た。