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レガシーシステムの「ラスボス」といえるメインフレームのモダナイズに動き出す企業が相次いでいる。システムの維持リスク回避に加え、DX(デジタル変革)の足かせを外す狙いがある。今回は東京海上日動火災保険の事例を取り上げる。

 東京海上日動火災保険はメインフレームおよびオープン系システムのモダナイズを並行して進めている。業務特性などに応じ移行先の受け皿を幾つか用意し、使い分けるのがポイントだ。

図 東京海上日動火災保険のオープン系SoRシステムの移行
図 東京海上日動火災保険のオープン系SoRシステムの移行
2種の標準クラウド基盤でモダナイズを推進(出所:東京海上日動火災保険の資料を基に日経コンピュータ作成)
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 米IBM製メインフレーム上に構築した損害保険や契約管理といったシステムは、ステップ数にして1億超の規模である。これをオープン化を前提に順次移行する計画だ。

 移行パターンは大きく3つある。1つは主力商品の分野で、現在独SAPのパッケージを使ってつくり直している契約管理システムを活用する。2023年10月に提供開始予定の「超ビジネス保険」を皮切りに、その後段階的に適用商品を増やす。

 同じ商品でも既に販売終了した「売り止め商品」などについては、今後システムを縮小する方針だ。これが2つめのパターンである。「シンプルなケースだと契約内容確認と簡易な訂正の機能だけあれば十分な場合もある。商品特性や事務量などの観点を踏まえ、スリム化の内容を検討している」(東京海上日動火災保険の石井尚行IT企画部企画グループ課長)。

 3つめはメインフレームで稼働している情報分析系システムのモダナイズに適用するパターンで、「Ab Initio」というデータ処理プラットフォームへの移行に着手している。

 Ab InitioはCOBOLやJCLを自動変換して独自コードにリライトしたり、データをETLで高速処理したりする機能を備える。Ab Initioについて石井課長は「ETLでデータを加工するイメージでデータ処理を可視化でき、システム間のデータ連携やデータ分析に必要なデータを効率的に準備できる」と評価する。「COBOL人材は強みのデータ処理スキルを生かせるので、データスチュワードとして活躍できる」と人材活用での利点も付け加える。