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 クレディセゾン、武田薬品工業、ベネッセコーポレーションは社員をデジタル人材へと変えるリスキリング施策に着手している。自社の事業に関して深い知識がある社員がデジタル技術に対して一定の知識と理解を得ればDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進力になる。各社が研修プログラム、必要人材・職種の定義などに埋め込むリスキリングの極意を紹介する。

 自社に関するビジネスの知識がある社員のリスキリングを重要視する1社がクレディセゾンだ。同社は2021年9月にDX戦略として「CS(クレディセゾン)DX戦略」を策定した。その一環としてデジタル人材を育成し、2024年までに1000人規模に増やすことを目指している。

「エンジニアになりたいから退職したい」社員がリスキリング成功

 クレディセゾンの小野和俊取締役兼専務執行役員CTO兼CIOは、「自社ビジネスの知識があるデジタル人材が重要だ」と強調する。こう考えるようになったきっかけは、小野取締役が同社に入社した2019年、クレジットカードの営業をしていた女性社員が、「エンジニアになりたいから退職したい」と人事に申し出たことだった。

 人事がこの社員に小野取締役が率いるCSDX推進部に属する「テクノロジーセンター」が新設されたことを紹介すると、小野取締役は社員と面談。その結果、辞めずに一度挑戦してみようとなり、ゼロからプログラミングを教えた。すると「すくすく成長した」(小野取締役)。

 むしろ、営業経験のあるこの社員がエンジニアチームに入ったことで「前職のときに客からこういうクレームが多かった、どうにかできないかという提案など、現場経験のない開発者だけだと分からなかった業務改善へのヒントがたくさん出てきた」(小野取締役)という。

 この経験から「デジタルに触れたことのないような人でも、プログラミングなどは意外と学ぶことができる」という確証を得た小野取締役は2020年、社員のリスキリングに向け大規模な社内公募に踏み切った。2021年、2022年と3年連続で公募している。

 同社はリスキリング施策の導入に際し、社内のデジタル人材をデジタル技術やデータに関する知識、スキルに応じて3階層(Layer)に定義した。注力点は、主に「Layer2」のビジネスの知識を持ち合わせた人材を育成していくことだ。社内システム内製化で脚光を浴びるローコード/ノーコード開発のスキルはこのLayer2に入る。

クレディセゾンはデジタル人材を3つの層に分けて定義する。Layer2の「ビジネスデジタル人材」を主なリスキリング対象とする
クレディセゾンはデジタル人材を3つの層に分けて定義する。Layer2の「ビジネスデジタル人材」を主なリスキリング対象とする
(画像:クレディセゾン)
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現場の課題を取り上げ実際に利用するシステムを開発

 クレディセゾンはリスキリングのための研修を行うに当たり、アプリエンジニア、内製化エンジニア、データ分析の3つの職種に分けて社内公募を行っている。

 具体的にどのような研修内容なのか。初年度である2020年に実際に行った研修を例に取ろう。このときの公募では12人が集まった。全員が内製化エンジニア希望で、まずは基礎研修を2カ月間実施。その後4人ずつの3チームに分け、グループワークを行った。