第12世代Coreシリーズは何が違うのか
米インテルの第12世代Coreシリーズは、デスクトップ版が2021年10月、モバイル版が2022年1月に発表された。いずれも高性能との評価が高い。とはいえ、従来のCoreシリーズの延長線上にある高性能化ではない。実力を理解するには、第12世代で採用された新しい仕組みを把握する必要がある。第11世代と比較しながらひも解いていこう。
最も注目すべき変更点は「Pコア」と「Eコア」の2種類のコアを搭載したことだ(図1)。性能を重視した従来のCPUコアがPコアであり、性能よりも電力効率を重視したのがEコアだ。EコアはPコアよりも性能が低く、物理的なサイズは4分の1ほど(図2)。限られたスペースにより多くのコアを搭載できるので、マルチスレッド性能でメリットがある。
マルチスレッドとは、CPUが命令を実行する単位のスレッドを、複数同時に処理すること。スレッドはもともとプログラムの処理の最小単位を表す言葉だが、CPUの処理の最小単位もスレッドと呼ぶことが多い。スレッド数は同時に実行できるスレッドの数であり、CPUの仕様として重要だ。基本的にCPUコア1個が同時に実行できるのは1スレッドだけだが、「ハイパースレッディング」という機能に対応していれば、1つのコアで2スレッドを実行できる。
Pコアはハイパースレッディングに対応するが、Eコアは非対応。第11世代までは全てPコア相当だったので、「8コア/16スレッド」など、スレッド数がコア数の2倍になるのが一般的だった。コア数とスレッド数が同じ場合もある。一方、第12世代ではPコアの2倍+Eコアの数が総スレッド数となる。
タスクマネージャーでCPUの情報を表示すると、スレッド数を確認できる(図3左)。ここではPコアとEコアは区別されない。CPUの稼働状況を表示するフリーソフトなどで、判別可能なものがある(図3右)。
CPUの内部回路のうち、核となる演算機能を提供する部分のこと。1個のCPUに複数のCPUコアを搭載することをマルチコアと呼ぶ。