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 テレワークによって仕事の生産性が上がったと感じる人が増え、下がったと感じる人が減った――。最新の調査でこのような結果が分かった。好ましく思えそうだが、実態はやや異なる。ビジネスパーソンの働き方について探る特集の2回目は、在宅勤務の生産性と阻害要因に迫る。

 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2022年10月に最新の調査をした。テレワークの実施状況や効率などを尋ねた。

 「テレワークによる業務の生産性は、職場(派遣・常駐先を含む)で仕事に取り組む場合を100とした場合、どれくらいですか」と尋ねたところ、「100超」つまり生産性が上がったと答えた人の割合は29.6%だった。前回調査(2022年3月時点)の20.8%から8.8ポイント伸び、過去最高だ。変わらないと答えた人を合わせると、「上がった/変わらない」人の割合は6割以上だ。

 生産性が「100未満」(下がった)と答えた人の割合は35.5%と、前回調査より10.7ポイント減り、過去最低だった。生産性が上がった人の割合が過去最高で、下がった人の割合が過去最低という結果を踏まえると、ビジネスパーソンのテレワークによる生産性は大幅に改善したとみなせる。

全6回の関連調査で「テレワークによる業務の生産性は、職場(派遣・常駐先を含む)で仕事に取り組む場合を100とした場合、どれくらいですか」との質問に「100未満」(下がった=赤)と「100以上」(上がった/変わらない=青)と答えた人の割合を時系列に並べた
全6回の関連調査で「テレワークによる業務の生産性は、職場(派遣・常駐先を含む)で仕事に取り組む場合を100とした場合、どれくらいですか」との質問に「100未満」(下がった=赤)と「100以上」(上がった/変わらない=青)と答えた人の割合を時系列に並べた
(出所:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)
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 過去の調査結果を遡ると、2020年4月に最初の緊急事態宣言が発出された直後は、テレワークによって生産性が下がったと答えた人の割合は6割を超えた。宣言解除後の2020年10月時点では4割近くまで改善したが、2021年3~4月には5割超へと悪化。その後はやや持ち直したものの、45%前後にとどまっていた。

 生産性が下がったと答えた人の割合が「4割の壁」を乗り越え、最低になったことは、評価できるといえるだろう。企業とビジネスパーソンが2年以上にわたって積み重ねてきた取り組みが結実した格好だ。

 一方で、調査結果をクロス分析してみると、別の課題が見えてくる。

生産性が上がったと喜ぶのは早計、二極化の傾向

 テレワークを週3日以上実施する人を対象に生産性を調べると、「下がった」と答えた人は25.0%にとどまった。これに対して、テレワークの実施頻度が週2日以下の人は「下がった」が46.1%に達した。46.1%は前回調査の全体結果と同レベルである。

 さらに、この半年でテレワークの実施頻度が「増えた」人を対象に調べると、生産性が「下がった」人は33.3%。「2割以上下がった」人は皆無だった。ところが、テレワークの実施頻度が「減った」人について見ると、生産性が「下がった」人は48.6%に上った。「上がった」人は14.3%だけだった。

テレワークの実施頻度/増減傾向と生産性の関係。左はテレワークの実施頻度別に、右は2022年10月までの半年でテレワークの実施頻度が減ったか増えたかの傾向別に、生産性が下がったと答えた人の割合をまとめた。テレワークの利用頻度が少ない人、減らした人ほど、生産性が低迷している
テレワークの実施頻度/増減傾向と生産性の関係。左はテレワークの実施頻度別に、右は2022年10月までの半年でテレワークの実施頻度が減ったか増えたかの傾向別に、生産性が下がったと答えた人の割合をまとめた。テレワークの利用頻度が少ない人、減らした人ほど、生産性が低迷している
n=152(出所:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)
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 これらの結果からいえることは、生産性の二極化だ。テレワークに積極的な人は生産性を引き上げ、頻度を増やしている。一方で頻度が少ない人は生産性が低迷し、回数も減らし気味というわけだ。

 テレワークの生産性が上がらない人が出社に回帰した結果、調査全体としての生産性は上がったように見える。まとめると、このように結論付けられる。「テレワークの生産性が上がった」と喜ぶのは早計。取り組み方など、再点検する必要があるだろう。