米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)のヴァーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)は2022年12月1日(米国時間)、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)の年次イベント「AWS re:Invent 2022」の基調講演に登壇。開発支援の新たなサービスや機能を発表した。
今回の発表の軸は「イベント駆動アーキテクチャー」だ。これは、オブジェクトストレージの特定バケットへのファイルアップロードのようなシステム上のイベントをトリガーにしてコードや機能を実行する仕組みである。
ボーガスCTOは「不確実性が高まる中で、イベント駆動アーキテクチャーが求められている」と強調する。データ処理量が年々増加するなか、非同期で並列処理を行う必要性を語り、この課題の解決策としてイベント駆動アーキテクチャーの重要性を訴えた。そのうえで、新たなサービス・機能を紹介した。
複雑な構成の管理コストを低減
AWSのイベント駆動型コード実行サービス「AWS Lambda」を中核として規模の大きいシステムをつくるには、それに応じた規模の並列処理機能が求められる。従来、Lambdaファンクション(コードを読み込んだ実行インスタンス)などによる処理フローを実行・管理するサービス「AWS Step Functions」の並列処理は最大40で、これがシステム設計の制約になるケースがあった。
そこで、AWSはStep Functionsに新機能「Step Functions Distributed Map」を追加した。同機能により、最大1万までの並列処理を管理・制御できるようになったという。東京リージョンなどで一般提供を開始している。
サーバーレスアプリケーションを設計・管理する新サービス「AWS Application Composer」も発表した。東京リージョンを含む6つのリージョンで限定プレビューとして提供を始めた。
同サービスはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を備えており、AWSのサービス同士の連携を設計できる。画面上に表示した各種サービスのアイコンをドラッグ・アンド・ドロップしたり、線でつないだりするといった具合だ。設計を終えたら、ITインフラの構築や運用管理を自動化する「IaC(インフラストラクチャー・アズ・コード)」のコードとして出力できる。