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 デスクトップPC、ノートPCに関わらず、複数のディスプレイを使った作業する「マルチディスプレイ」が一般的になった。PCにディスプレイ接続の専用ポートを備えなくても、映像出力と電源供給に対応するUSB Type-Cポートがあればディスプレイとの接続が可能になるなど、接続方法が多様になっている。PC初心者でもマルチディスプレイ環境を導入しやすくなっている。

 一方で、ディスプレイ接続のポートは規格やそのバージョンの種類が多く、その仕様の違いは複雑怪奇だ。しかも、接続に使うケーブルも用途によって対応規格が変わる。バリエーションが多すぎるディスプレイ接続について、規格をおさらいしつつ、最新バージョンや今後登場するバージョンの特徴も押さえていこう。

主要なディスプレイ接続の規格

 まず、ディスプレイ接続に使う端子の形状を見ていく。ディスプレイ接続に使う主な端子は、(1)VGA、(2)DVI、(3)HDMI、(4)DisplayPort、(5)USB Type-Cの5種類だ。

ディスプレイ接続に使える5種類の端子
ディスプレイ接続に使える5種類の端子
(写真:スタジオキャスパー)
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 1つ目の「VGA」は古い規格の端子だ。「ミニD-sub 15pin」や「アナログRGB」などとも呼ばれる。この端子で接続した場合、映像をアナログ信号として伝送するため、映像の劣化が目立つ傾向がある。

 最新PCの多くはVGA端子を搭載していない。会議室に設置された古いプロジェクターなどでVGAにしか対応していないことがあるが、PC選びという点では重要視しなくてよいだろう。

 2つ目の「DVI」も古い規格の端子だ。Digital Visual Interfaceの略で、その名の通りデジタル信号の映像データを伝送する。端子のピン数によって、「シングルリンク」と「デュアルリンク」の2種類に分かれ、前者は最大1920x1200ピクセル、後者は最大2560x1600ピクセルの解像度に対応する。派生する規格として「mini-DVI」や「micro-DVI」といった端子も存在する。また、DVI端子を使ってアナログ信号を伝送する「DVI-A」という規格もある。

 DVI端子を搭載する最新PCは少なくなっている。ただ、後述するHDMIに変換するアダプターやケーブルが販売されている。もしDVI接続が必要な機器を所有している場合は、これらのアダプターやケーブルで対応できる場合がある。

 3つ目の「HDMI」はディスプレイ接続でよく利用される規格だ。High Definition Multimedia Interfaceの略で、映像とともに音声も伝送できるのがポイント。家庭用ゲーム機やビデオカメラ、Blu-ray Discプレーヤーなどをテレビに接続するときにも利用される。派生する規格として「miniHDMI」や「microHDMI」といった端子も存在する。

 4つ目の「DisplayPort」は前述したDVIの後継に相当する規格だ。高解像度・高リフレッシュレートでの映像伝送が必要な場合には、DisplayPortが重要になる。派生規格として「mini DisplayPort」などの端子も存在する。なお、音声信号の伝送はオプションだ。使用する機器やケーブルによっては、音声を伝送できないこともあるので購入時にはしっかり確認しよう。

 5つ目の「USB Type-C」はいわゆるUSB端子の1つで、ディスプレイ専用のポートではない。ノートPCの電源入力や外付けHDDなどの周辺機器の接続にも使われる。しかも、すべてのUSB Type-Cがディスプレイ接続に使えるわけではない。前述した「DisplayPort」端子としての機能を備えた「DisplayPort Alternate Mode」対応のUSB Type-Cに限定される。PC選びの際は注意する必要がある。

 ノートPCで外部ディスプレイを利用するときは、「HDMI」「DisplayPort」「DisplayPort Alternat Mode対応のUSB Type-C」のいずれかを搭載した製品を選ぶことが重要になる。利用するときは、接続するディスプレイに合わせて、接続ケーブルや変換ケーブル、アダプターを用意する必要がある。