場所を問わずに利用できるノートパソコン(PC)には、無線通信機能が搭載されている。無線LANを使ってアクセスポイントやスマートフォンなどを介してインターネットにつなげられる。外出での利用をメイン用途に想定したノートPCには、4G LTE/5Gの携帯電話網を使う通信機能を搭載する製品もある。ここでは、これらの通信機能の仕様をおさらいし、いま選ぶべき通信機能はどれなのかを見ていこう。
Wi-Fiの世代と周波数帯について
「Wi-Fi(ワイファイ)」は無線LANで使う技術で、米国の業界団体であるWi-Fi Allianceが製品を認証している。Wi-Fiの通信仕様は、複数の世代に分かれていて、使用する帯域や最大通信速度などに差がある。
通信規格としての名称は「IEEE 802.11xx」(「xx」にはアルファベットの小文字が最長で2文字入る)と表記される。ただし、2018年以降は「Wi-Fi 5」や「Wi-Fi 6」のような分かりやすいナンバリング表記も併用されるようになった。
ナンバリング表記は、Wi-Fi Allianceが従前の表記だと規格の世代が利用者にとって分かりにくいと考え、それを改善するために採用した。Wi-Fi 4は2007年に策定されたIEEE 802.11nに、Wi-Fi 5は2013年に策定されたIEEE 802.11acに、Wi-Fi 6は2019年に策定されたIEEE 802.11axに相当する。
現在はWi-Fi 6対応製品が主流で、一部Wi-Fi 5の製品も残っているという感じだ。この2つの仕様は確実に押さえておきたい。
ナンバリング表記 | 規格 | 最大通信速度 | 周波数帯 |
---|---|---|---|
Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 9.63Gbps | 5GHz帯、2.4GHz帯 |
Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
Wi-Fi 5とWi-Fi 6で使われる周波数帯(バンド)には「2.4GHz帯」と「5GHz帯」の2種類がある。2.4GHz帯は、最大通信速度がやや劣るものの、遮蔽物の影響を受けにくく、広い範囲に電波を届けられる。また、モバイルWi-Fiルーターといった屋外で使用する製品で利用可能だ。
一方の5GHz帯は、遮蔽物の影響を比較的受けやすいが、最大通信速度が速いという特徴を持つ。Wi-Fi製品の最大通信速度は、5GHz帯を使ったときの速度を指すことが多い。また、5GHz帯のWi-Fiは特定の条件を満たさないと屋外利用が認められていない。このため、モバイルWi-Fiルーターには採用されていない。
Wi-Fiの世代によって、どの周波数帯を使うかが異なる。Wi-Fi 5は5GHz帯のみを使う。一方、Wi-Fi 6は2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応する。両方に対応している製品なら、例えば5GHz帯を使って通信が安定しない場所では、2.4GHz帯に切り替えて使うといったことができる。Wi-Fi 6のほうが良好なユーザー体験が伴うわけだ。
Wi-Fi 6を利用するには、PCをつなぐアクセスポイントもWi-Fi 6に対応している必要がある。2022年に発売されたアクセスポイントやスマホなど、主要製品はほとんどWi-Fi 6対応だった。いま買うなら、少なくてもWi-Fi 6に対応した製品を選ぶべきだ。