国内のITサービス業界をけん引する存在のNTTデータ。同社は2022年10月にNTTと海外事業を統合した。2023年には国内事業の切り出しや持ち株会社体制への移行を控えており、経営は転換点を迎えている。事業面でも、従来型の受託開発から脱却し、顧客と共にアジャイル型でシステムをつくり上げる発想への転換を迫られている。そんな中、NTTデータはどのような人材を求めているのか、新卒採用の責任者である石川普美子コーポレート統括本部人事本部人事統括部採用担当部長に聞いた。
「新卒採用を抑える材料は持ち合わせていない」
NTTデータの選考フローと新卒採用計画は。
2023年3月の広報解禁を待って、学生に猛アピールしたい。そこから6月の本格選考まで、SNS(交流サイト)などを活用し、インターンシップで培った学生との交流を保ちながら、母集団もさらに増やしていきます。例年、書類選考や適性検査、グループディスカッション、さらに複数回の面接を経て、内々定が出る流れです。
2024年卒の新卒採用計画は現時点で決まっていません。遅くとも年明け(2023年)早々には決めたいと思っています。2023年4月の新卒採用者数は687人を予定しており、2022年度(551人)と比べて2割強増やしました。およそ理系6割、文系4割という比率です。当社は2022年度に始めた新たな中期経営計画で非常にアグレッシブな目標値を設定しており、2024年卒の新卒採用者数を抑えていくような材料は今のところ持ち合わせていません。
採用に当たっては、ボリュームゾーンの「SE・コンサル・営業コース」とは別に、法務や財務、ファシリティーマネジメントなどの専門コースを設けています。専門コースは例年、10~20人程度を採用しています。
当社に対する理解を深めてもらったり、関心を喚起し続けたりするために、我々はインターンシップに力を入れています。2022年夏は、採用担当主催の4日間のプログラムである「ワークショップ型」と、現場で実務を経験する「プロジェクト型」の2種類を提供しました。実際にワークショップ型は約500人、プロジェクト型は300人弱の学生を受け入れました。今冬(2023年1~2月)もインターンシップを実施する予定です。
今冬のインターンシップはどのような内容になりますか。
プロジェクト型と1日限定の「リアルプロジェクトアイデアソン」の2種類を実施する予定です。アイデアソンが2022年夏に実施したワークショップ型に代わる位置付けです。ワークショップ型をアイデアソンに変更したのは、冬は(間近に控えた)選考を意識する学生が多いため、長期間拘束するのではなく、より短い期間で当社を理解してもらったり、興味を持ってもらったりするためです。
アイデアソンは新たな購買体験といった課題を設定し、新たな企画やサービスを考えていくという内容です。当社はITサービスを軸に事業を展開していますが、まずは事業から入らず、より高い目線で、世の中にどのような価値を提供していくのかという視点を重視し、プログラムを組み立てています。