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 回転する工具の向きを2軸で制御すると同時に、縦横高さの3軸で移動させて切削加工する5軸加工機。工具の向きが変わらない3軸加工機に比べて複雑な形状を加工できるなど、先進的な加工方法とみなされる。普及の進み方は速いとはいえないが、着実にメリットを得られるようになってきた。5軸マシニングセンターの現状や取り組みについて、2022年6月に牧野フライス製作所取締役社長に就任した宮崎正太郎氏に聞いた。(聞き手は、木崎 健太郎、吉田 勝=日経クロステック/日経ものづくり)

牧野フライス製作所 取締役社長の宮崎 正太郎氏
牧野フライス製作所 取締役社長の宮崎 正太郎氏
(写真:加藤 康)
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大物5軸加工機の開発を強化

本年(2022年)のJIMTOF(日本国際工作機械見本市)での展示を含め、現在力を入れていることは何でしょうか。

 引き続き5軸加工に力を入れているのに加えて、ここのところ自動化や放電加工の加工品位向上にも取り組んでいます。お客さんの業種別では半導体関連が好調な他、航空宇宙分野が新型コロナウイルス感染症拡大の影響から急回復しています。自動車業界からは電気自動車(EV)関係の受注が大きく増えています。これらの業種に限らず、受注は過去最高を更新する勢いで好調な半面、いかに増産を図るかが課題になっています。

 5軸マシニングセンター(MC)は、大型のワークを扱える機械を開発しています。800mm角のテーブルを持つ横型5軸MC「a900Z」と、2m程度の長いワークを扱える立形5軸MC「V100S」です。

 5軸加工というと、ワークサイズが400mmとか500mmを超えるあたり、というのが現在のイメージではないでしょうか。そこを大きくしてほしいという要望を受けて開発しました。

 V100Sのほうは、自動車のバンパーやインパネなど大型の金型が対象になります。それより小さいグリルやドアトリムなどの金型を加工できる機械までは持っていたのですが、それ以上の大きさのワークを扱える機械がなかったのです。

 このような大きな金型になると、工具を取り換えながら加工します。ただ、工具の変わり目のところで段差ができてしまうので、この段差を出さないようにするために人が付いていなければならないという弱点がありました。その段差を極力なくしましょうという機械を中型機で造ったら爆発的に売れました。

 それで、もっと大きいワークを加工したいという要望が出てきました。機械を大きくすると段差も大きくなるので、これを抑えなくてはいけない。四苦八苦しながらようやくできたのですが、パイロットユーザーに何台か入れてもらって、リピート発注も頂けるくらいにまでなりました。

 EV関係では、モーターハウジングのような比較的大径のワークを旋削加工したいというニーズがあります。そこで、立形マシニングセンターに旋削機能を加えた「L2(旋削仕様)」のような機械も開発しています。