2022年12月31日に、山形県鶴岡市で痛ましい土砂災害が発生しました。現地は斜面の角度が30度を超える急傾斜地で、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されていました。年始を家で迎えようとしていた人はテレビで繰り返し流れる報道を見て、改めて災害の恐ろしさを実感する年末になったのではないでしょうか。
防災、減災は土木業界にとって毎年変わらず大きなテーマです。22年は例年と比べると比較的、大規模な水害や土砂災害による被害が少なかった年ではありましたが、23年も引き続き、災害に強い、または災害に遭わない社会を目指した動きが欠かせないでしょう。
もちろん土木の仕事は災害対策・対応だけではありません。そこで、23年の土木業界の動きが大まかに分かるキーワードを5つ選び、紹介したいと思います。
まずは土砂災害に関連したキーワードとして「土地利用規制」から。国は23年5月に、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(盛り土規制法)を施行します。21年7月に起こった静岡県熱海市の土石流災害をきっかけに、この新法を制定することになりました。盛り土などの崩壊が人家や人命に及ぼし得る区域を規制区域として、都道府県や政令市の首長が指定できるようになるものです。人為的に造成される危険な盛り土などは減ると思われます。
続いてのキーワードは、「データ活用」です。自然災害などを事前に把握するためには、高精度な防災シミュレーションが欠かせません。国土交通省はあらゆるデータを組み合わせた官民連携データ基盤「国土交通データプラットフォーム」を23年度から本格的に稼働させます。デジタル空間上で地図・地形データだけでなく気象データ、人流データなどを組み合わせて、解析やシミュレーションを進め、国土交通分野の高度なサービスやデータに基づく政策決定を推進していく方針です。