デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが加速するなか、理系学生の争奪戦が激化している。理系学生向け就職活動支援サービスなどを手掛け、累計約5万人の理系学生データを持つLabBase(ラボベース、東京・千代田)のLabBase就職事業本部 カスタマーサクセスユニット 荒金良行ユニット長は「従来理系学生を積極的に採用していなかった企業も、獲得に動き出している」と指摘する。理系学生から見れば就職先の選択肢が広がっており、また企業側から見ればライバルが増えているといえる。
そこで重要性が増しているのが、インターンシップ(以下、インターン)だ。学生にとっては仕事や職場への理解を深められ、企業にとっても優秀な学生とのつながりをつくれる。特にここ数年は、新型コロナウイルス禍によってオンラインでの実施も定着し、内容や開催方法が多様化している。
日経クロステックは最新のインターン事情を探るべく、LabBaseと共同でアンケート形式の調査を実施した。LabBaseの就活支援サービス「LabBase就職」に登録している2024年修了予定の修士課程の理系大学院生(以下、24卒理系院生)を対象に、2022年11月7日から11月20日にかけて回答を募集。1040件の有効回答を得た。
回答を分析すると、学生に評価されるインターンの特徴が見えてきた。以下は、参加して良かったと感じたインターンに対するコメントに頻出する語句(ワード)をワードクラウド(出現頻度の高さを文字の大きさで表現した図)で示したものだ。「社員」との交流や「フィードバック」を得られることなどが満足度につながっていることが見て取れる。
本特集ではこの調査で特に評価の高かった企業の一覧や高評価の理由を紹介し、理想のインターン像に迫る。
理系院生のほとんどがインターンに参加
まず、24卒理系院生のインターン参加傾向を見ていこう。以下の図はインターンに参加した/する予定の社数を示したものだ。4~6社参加する学生が最も多く、33.8%を占める。10社以上参加する学生も約15.4%に上る一方で、インターンに全く参加しない学生は全体の3.8%にすぎないことが分かった。
このように大部分の学生が参加するインターンだが、参加経験が就職先選びにどの程度影響しているのだろうか。インターンに参加したことによる志望度の変化を尋ねたところ、企業や業界への志望度が上がったという意見が大多数を占める。ただし逆に志望度が下がったと答える学生も一定数存在する。インターンを実施したことでかえって学生からの評判を落としてしまうことがないよう、企業は評価されるインターン像を理解することが必要だ。