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Linuxを使いこなす上で、絶対にマスターしておきたいのが「コマンドライン操作」だ。この特集では、コマンドライン操作に苦手意識を持つ人に向けて、「シェル」や「端末」などの根本的な仕組みからコマンド操作の基本や活用方法までを解説する。

 Part3では、コマンド操作の基本と、コマンド操作を効率化するシェルの機能、CUIテキストエディタの「vi」「nano」の使い方などについて紹介します。これらの操作をマスターすれば、コマンドを問題なく使い始められます。

 端末アプリを開き、プロンプトの「$」に続けてコマンド文字列を入力してから[Enter]キーを押せばコマンドを実行できます。コマンドを実行することで、アプリの起動やシステム管理、ファイル操作などのさまざまな操作が可能になります。

 試しにディレクトリーの内容を表示する「ls」コマンドを実行してみましょう。「ls」と入力して[Enter]キーで実行すると、図1のようにカレントディレクトリーの中身がリスト表示されます。

図1 lsコマンドの実行例
図1 lsコマンドの実行例
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 次に、「ls」に続いて空白文字(スペース)を入力してから「-l /」と記述して実行してみましょう。すると「/」ディレクトリー(ルートディレクトリー)の中身が詳細にリスト表示されます(図2)。

図2 「ls -l /」コマンドの実行例
図2 「ls -l /」コマンドの実行例
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 ここで記述した「-l」はコマンドの「オプション」、「/」は「引数」と呼ばれるものです。コマンドは一般的に、図3のような書式で実行できます。かぎかっこで囲んだものは省略可能です(かぎかっこそのものは記述しません)。なお多くの場合、オプションと引数は空白文字で区切ることで複数指定できます。またコマンドによっては、オプションと引数の位置を替えても同じ実行結果が得られます。オプションと引数については後述します。

図3 コマンドの一般的な書式
図3 コマンドの一般的な書式
かぎかっこで囲んだものは省略可能(かぎかっこそのものは記述しない)。
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 複数の機能を持つコマンドの一部は、「サブコマンド」を指定することで機能を使い分けられます。例えば、Ubuntuのパッケージ管理に使用する「apt」コマンドは、「install」「upgrade」「remove」「search」といったサブコマンドを指定できます。

 試しに、ジョークプログラムの「nyancat」をインストールしてみましょう。それにはinstallサブコマンドを指定して、aptコマンドを次のように実行します。「続行しますか?」という確認メッセージが表示されたら[y]を入力します。

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 aptコマンドの前に指定している「sudo」は、それに続くコマンドを管理者権限で実行するためのコマンドです。プログラム(パッケージ)のインストールはシステムに影響を与える操作なので、sudoを付けてaptコマンドを実行する必要があります。そのほか、システム設定ファイルを編集するコマンドを実行する際などにもsudoを付けなければなりません。

 sudoコマンドの初回実行時(あるいは一定時間経過してから再度実行した際)には、コマンドを実行したユーザーのパスワードを入力する必要があります。ユーザーによってはsudoコマンドの実行が許可されていない場合もありますが、Ubuntuインストール時に作成したユーザーならば(設定を変更していなければ)sudoコマンドを実行できます。

 インストールしたnyancatコマンドを実行すると、図4のように端末画面いっぱいに飛び回る猫が表示されます。終了するには、[Ctrl]キーと[C]キーを同時に押します。ほかにも「sl」や「bb」といったジョークプログラムがあります。インストールして実行してみましょう。

図4 nyancatコマンドの実行例
図4 nyancatコマンドの実行例
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