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 「(これからのAI〔人工知能〕時代に向けて)半導体の製造は根本的に変わらなければならない。特にスピード感だ。従来と比べて半導体の製造期間を半分に短縮することを目指す」

 こう力を込めたのは、2022年に設立されたファウンドリーRapidus(ラピダス、東京・千代田) 社長の小池淳義氏である。同氏はベルギーimecが開催した半導体イベント「ITF World 2023」(2023年5月16~17日、ベルギー・アントワープ)で講演し、これまで明らかにしてこなかったラピダスの技術戦略を明かした(図1)。

図1 「ITF World 2023」で講演するRapidus社長の小池淳義氏
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図1 「ITF World 2023」で講演するRapidus社長の小池淳義氏
(写真:日経クロステック)

 ラピダスは台湾積体電路製造(TSMC)のようなファウンドリーが主ビジネスとする少量品種の大量生産とは異なり、多品種少量の半導体製造受託を担う考えである。ChatGPTに代表される生成AI技術や自動運転および医療などに使われる画像認識など、AI半導体の需要が拡大を続けている。同社は少量多品種のAI半導体を中心に製造し、「どこよりも速い短TAT(Turn Around Time)製造」(小池氏)を目指す。

 小池氏がこの短TAT実現のカギとするのが、「RUMS(Rapid & Unified Manufacturing Service)」と呼ぶ新しいファウンドリーサービスである。従来のファウンドリーは半導体の製造を中心に手掛けてきた。これに対し、RUMSではユーザー企業がどのような半導体をつくりたいかという仕様を決定するだけで、あとはラピダス側が半導体の設計から実装(パッケージング)までを引き受ける。半導体設計・製造に関わる部分に外部とのやり取りがなくなるため製造の効率化を図れる。結果的に製造期間短縮につながるとした(図2)。

図2 ラピダスは設計から実装までを担う新しいファウンドリーとなる
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図2 ラピダスは設計から実装までを担う新しいファウンドリーとなる
(出所:小池氏の発表資料を基に日経クロステックが作製)