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 アロマジョイン(京都市)は、動画視聴中やメタバース体験中などに香りを出せる個人向けプラットフォーム「AromaPlayer」と、香りを発生させるウエアラブル端末をテクノロジー見本市「CES 2023」(2023年1月5~8日、米国ラスベガス)で発表した。様々な香りを任意のタイミングで提供できるため、嗅覚の利用で没入感を高めた視聴体験を気軽に楽しめるようになる。

アロマジョインが手掛けるウエアラブル端末のデモ機とAromaPlayer
アロマジョインが手掛けるウエアラブル端末のデモ機とAromaPlayer
ウエアラブル端末は首からかけて使う。(撮影:日経クロステック)
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 AromaPlayerでは、自分で撮影した動画やYouTube動画などに対して、出す香りの種類やタイミング、持続時間を設定できる。同社は従来、こうした機能をデジタルサイネージなど主にBtoB向けに提供してきたが、個人でも使えるようにしたのがAromaPlayerだ。

 香りは独自に開発したデバイスから届ける。パソコンやスマートフォンなどとデバイスをBluetoothでつなげて使う。これまでは卓上に置くタイプのデバイスを販売していたが、今回は首にかけて使うウエアラブル端末を新しく発表した。

 端末には香りのもととなる6種類のカートリッジを組み込み、映像や音響に合わせて様々な香りを切り替える。「(首かけタイプのウエアラブル端末のため)鼻の近くで香りが発生し、映像や音響と連携させるタイミングがずれにくい」とアロマジョイン社長の金東煜(キム ドンウク)氏は話す。

 カートリッジは、香りの原液を固形物に染み込ませる独自の方法で作製しており、空気を用いて香りの成分を鼻に向かって放出する。「香りを固体化することで、作動時には利用者へ香りが届くが、通常時は空間に広がらず残りにくい。香りが混ざらず、種類の切り替えを速められる。また、利用者以外には香りが漏れにくい」(金氏)。

 現在、カートリッジとして用意している香りは約100種類。カモミールやジャスミン、オレンジなどに加えて、海や森など場所を連想させるものもある。香料会社と提携しており、要望があれば1000種類ほど用意できるという。同社は2023年内にウエアラブル端末を完成させ、米国や日本でクラウドファンディングを使った製品の提供を始める予定だ。