テクノロジー見本市「CES 2023」(2023年1月5~8日、米国ラスベガス)の開催前日の同年1月4日に開かれたプレスカンファレンスで、注目を集めた1社がドイツZFである。同社は自動運転「レベル4」対応の電動シャトルバスを初公開した(図1)。モビリティープロバイダーの米Beepと提携し、米国において今後数年間で数千台規模を展開する計画だ。
ZFによれば、今日の都市交通は膨大な数の車両が行き来することで多くの弊害が生まれているという。「環境を悪化させ、ストレスフルで、もはや機能していないと言っていい」(同社Autonomous Mobility Systems のExecutive Vice PresidentのTorsten Gollewski氏)。同社が自動運転のシャトルバスを開発するのは、こういった個々の自動車の移動量を減らせるからであり、しかも地域の公共交通機関のドライバー不足を解消できるからだという。
発表した電動シャトルバスは全15座席で定員22人を乗せられ、自動スロープや車椅子用の安全ベルトを備えている(図2)。バッテリー容量は50k~100kWhで、航続距離は最長約130kmである。最高速度は約40km/hで、将来的に約80km/hまで向上させたいとする。LiDAR(レーザーレーダー)やカメラなどのセンサー技術が搭載されている。
インフラやクラウドとの通信は「ZF ProConnect」と呼ばれるコネクトプラットフォームが担い、データ解析は「ZF ProAI」という車載コンピューターが行う。自動運転ソフトウエアの「Virtual Driver」は、これらのユニットの情報を処理して車両に指示を出す役割を持つ。