「リモート会議はリアル会議と比べて生産性や発想の面では課題が多い」。そんな悩みに直面していた米Canon U.S.A.(キヤノンUSA)は、オフィスとリモートのハイブリッド会議ソリューション「AMLOS(Activate My Line of Sight)」を「CES 2023」(2023年1月5~8日、米国ラスベガス)に出展し、人気を集めていた。同社のブースは例年と違ってオーガニックな雰囲気を醸し出し、その一角にAMLOSコーナーがある。新型コロナウイルスの感染拡大以前、同社ブースといえばカメラや事務機器のオンパレードで、ものの魅力で押していた。
キヤノンUSAは2020年夏に社内で「ポストCOVIDプロジェクト」を立ち上げ、新型コロナ禍で大きく変わったワークスタイルへの対応に向けて、さまざまな取り組みを進めてきた。その1つが、リモートからの参加者があたかも会社の会議室にいるような臨場感にて会議に加われるAMLOSだ。Activate My Line of Sightという名称は「(リモート参加者の)視線をアクティベートする」という意味だ。
リモート会議ではパソコン画面に映るのは小さな正面の顔ばかり。これでは議論もなかなか盛り上がらない。そこで、リモートで参加する人が、オフィスで実際に会議しているような雰囲気になれるシステムを作れないかと奮闘したのが、キヤノンUSAの前田広平氏だ。「新型コロナの感染拡大後、リモートでの会議や打ち合わせが増えた。でも現実感がなく、顔だけ見ていても、良いアイデアは湧いてこない。たくさんしゃべっている人の声を聞くと、ストレスを感じることもある。特に会議が問題。オフィスにいる人は、たくさんの情報が享受できるのに、リモート側では得られる情報が固定カメラに限られ、情報格差が目立つ。そこでリモートからでも、あたかもオフィスにいて、ホワイトボードの文字を見ながら、みんなが知恵を出し合えるような仕掛けを考えた」(前田氏)。