2023年1月に開催されたテクノロジー見本市「CES 2023」で目立っていたのは、完成品メーカーよりも半導体メーカーだった。さまざまな分野でエレクトロニクス化やデジタル化が進むなか、半導体が今後ますます重要になることを印象づけた。特に米Qualcomm(クアルコム)の勢いは際立っている。
クアルコムは自動車などモビリティー関連の出展者が集う「ウエストホール」に大きなブースを構え、車載半導体だけにとどまらず、自社製半導体を搭載した自動車まで試作して訴求した。同ホール近くのホテルには巨大な広告を掲げるなど、来場者への訴求にも力を注いでいた。
2022年のCESでは、競合他社が出展を縮小あるいは中止するなか、クアルコムは出展に踏み切り、同社社長兼最高経営責任者(CEO)のCristiano Amon(クリスチャーノ・アモン)氏がプレスカンファレンスに登壇した。2023年もCES重視の姿勢に変化はなかった。
最大のトピックは、ソニー・ホンダモビリティがCESで発表した電気自動車(EV)のブランド「AFEELA(アフィーラ)」の試作車にクアルコム製品を採用したことだ。テレマティクスやHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)、IVI(車載インフォテインメント)、自動運転、ADAS(先進運転支援システム)といった主要機能に向けて、クアルコムのSoC(システム・オン・チップ)を搭載した。
ソニー・ホンダの発表会にはクアルコムのアモン氏が登場し、ソニーグループ(ソニーG)の会長兼社長でCEOの吉田憲一郎氏と固い握手を交わすなど、親密ぶりをアピールした。ソニー・ホンダのEVは注目度が高かっただけに、クアルコムにとっては抜群の宣伝効果を得られた。