2023年は国産ゲート型量子コンピューターの「稼働元年」になる。実機が稼働することで、量子コンピューターの性能向上や実用化に向けた研究開発の加速が期待できそうだ。
超伝導方式では理化学研究所(理研)と大阪大学が開発するテストベッドが2023年3月までに稼働する。理研量子コンピュータ研究センター(RQC)の中村泰信センター長の研究チームが開発した64量子ビットの超電導量子プロセッサーや、阪大の根来誠准教授の研究室と理研が共同開発した制御装置を搭載する。同機の量子プロセッサーの特徴は、将来の大規模化をにらんだ制御配線にある。通常は量子ビットを搭載したチップの水平方向に制御用の配線を施すところを、垂直方向に配線できるようにした。配線の混雑を防ぎ集積化を可能にしている。
テストベッドの公開範囲は検討中だが「当初はリソースも限られているので共同研究ベースを考えている」(中村センター長)という。国内外の研究者や部品メーカー、ユーザー企業らが使えるようになれば、大規模化や将来に向けた用途開発が一層進むことが期待できる。