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日経クロステックの担当記者が座談会形式で2022年の携帯電話業界を振り返り、2023年を展望した。2022年はNTTドコモがショップの数を3割減らす方針を打ち出したことも大きな話題となった。ショップを運営する販売代理店は2023年も厳しい状況が続き、さらなる再編もありそうだ。

日経クロステック堀越功  NTTドコモは2025年度までにショップの数を約3割減らす方針を明らかにしており、ショップを運営する販売代理店からは「あまりにも激変すぎる」という声が出ています。とはいえ、NTTドコモの井伊基之社長に話を聞く限り、固定費のかかるリアル店舗を減らし、ショップスタッフがリモートで接客するというオンラインシフトを進めていくという方針は揺るがない感じですね。

日経クロステック榊原康  ドコモショップ関係者によると、2022年度末にかけてオンライン接客などが入ってくるそうです。店頭応対時間の削減につながるシステムの導入も2023年1~3月に予定していると聞きました。

 NTTドコモとは対照的に販売代理店の評価が高まっているのはソフトバンクですね。同社はオンラインにも力を入れていますが、「リアル重視」でショップがいまだに増えていると聞きました。販売代理店の改善提案を積極的に受け入れ、スタッフ(クルー)のモチベーションを高める工夫にも余念がない。携帯大手の中でシステム化が最も進んでいるともいわれます。かつては「手数料が安い」「営業成績が悪いと退店を迫られる」などとソフトバンクの評価は散々だったのですが、状況は大きく変わりました。

堀越  楽天モバイルの直営店が減っているという一部報道もありました。ただこちらについては、数を追う垂直立ち上げの時期から、現実に即したフェーズに入ったからではないかと見ています。同社では基地局の設置や契約獲得などで、社員に対してノルマを課していると聞きます。ノルマ達成のためなのか、条件が悪いロケーションにもかかわらず、同社の基地局が設置してあるケースを見かけます。ショップについても、同じように数を追っていたケースがありそうです。

日経クロステック高槻芳  少し脱線しますが、誰にも分かりやすい物差しで社員同士を競わせるのは楽天グループの企業文化なのかもしれませんね。一例が「楽天市場」の出店者をサポートする「ECコンサルタント」の社内評価基準。現在は店舗の売り上げと連動しているようですが、かつては「担当している出店者からの広告出稿量」を軸にコンサルタントを評価・処遇する時代もあったと聞きます。

 話をショップに戻すと、楽天モバイルが実店舗を短期間で増やしたり減らしたりしているのは、スピード重視で過去のしがらみもない同社らしい動きだと感じています。

堀越  2022年12月にはノジマが販売代理店大手のコネクシオを約850億円で買収すると発表しました。コネクシオは主にドコモショップを展開する大手で、直近の業績は販売台数の落ち込みと手数料体系変更の影響を受けて大きな減益となっています。

 コネクシオの業績はNTTドコモの手数料体系によって大きく左右されます。NTTドコモがショップの在り方にメスを入れた以上、コネクシオの業績が落ち込むのは目に見えていました。そのような状況で、よくノジマが買収に動いたという印象です。

高槻  近年、ショップを運営する販売代理店業界は先細りする中で合従連衡が進んでいます。今回のM&A(合併・買収)は、業界から手を引く企業の受け皿となって「残存者利益」を狙う戦略なのかもしれません。それにしても買収金額の大きさには驚かされました。何か“埋蔵金”のような秘策でもあるのでしょうか。