Pythonのプログラミング環境には複数の選択肢がある。この特集では、3つの代表的なPythonプログラミング環境を取り上げ、それぞれの特徴や構築方法などを解説する。
プログラム開発のプロジェクトを複数並行して進めるときには、プロジェクトごとに仮想環境を分けて作ると便利な場合があります。例えば、使うパッケージのバージョンがプロジェクトごとに異なっていたり、パッケージ構成が違っていたりしても、環境を分けておけば、バージョンの不一致による問題の発生を防げます。
しかし、環境を分けるためにパソコンを複数台用意するのは大変です。そこで、ツールを使って複数の環境を1台のパソコン上に作りましょう。
複数の仮想環境を作るために、CPythonではvenvというツールを使い、AnacondaとMinicondaではcondaを使います。
Colabで複数の環境を切り替えたい場合は、新しいノートブックを作成すれば、ノートブックごとに環境を用意できます。
venvで複数の仮想環境を切り替える
CPythonに標準で用意されているvenvを使って、パッケージの構成が異なる仮想環境を作ってみます。
まずは、現在の環境にインストールされているパッケージを確認しましょう。コマンドプロンプトを起動し、「pip list」コマンドを実行してください。
実行結果は図18のようになります。pip、setuptoolsのほかに、前にインストールしたPillowが表示されています。
次はvenvを使って、新しい環境を作ります。ここではユーザーフォルダー(C:\Users\<ユーザー名>)以下に、「py1」という名前の仮想環境を作ってみましょう。「python -m venv 仮想環境のパス」というコマンドで、指定されたパスに仮想環境を作れます。<ユーザー名>の部分には、パソコンで使っているユーザー名を記述してください。以下のコマンドを入力・実行します。
実行結果は何も表示されずに、プロンプトに戻ります。
py1仮想環境に切り替えるには、「<仮想環境のパス>\Scripts\activate」というコマンドを実行します。以下のように入力・実行してください。
実行結果は図19のようになります。画面がクリアされ、プロンプトの先頭が(py1)に変化すれば成功です。