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(1)過去7年間の出題傾向

 土質基礎は業態によって調査、設計、施工の分野に大別できます。下の表は、2016年度から22年度までの7年間の出題概要です。

 土質基礎では全体の半分以上を調査や設計の分野が占めており、これらの分野の勉強は外せません。IIの問題は出題範囲が広く、テーマも多岐にわたりますので、自分の専門以外の分野についても対応する必要があります。応用能力が求められるII―2では、施工の分野も含まれます。例えば、19年度は基礎杭を打設した橋脚が傾いた原因と対策が、21年度は大規模な土留め(山留め)の近接施工が、22年度は幹線道路の崩壊法面の復旧対策が、それぞれテーマでした。様々な要素が盛り込まれた図を読み取る設問が定着し、それに基づいて詳細な内容について問われます。設定される条件は難しくなる傾向にあります。実務経験を踏まえた解答が求められており、自身の専門分野を深く勉強することも欠かせません。

 21年度のII―1では擁壁の変状・損傷の形態と原因、テルツァーギの支持力公式に関するもの、粘性土の強度増加率、液状化の発生メカニズムと工法がテーマでした。22年度は、地盤剛性のひずみ依存性、盛り土の品質管理基準、軟弱粘性土の沈下と周辺地盤の変形・対策、軟弱地盤上の橋台基礎の設計課題と対策でした。土の基本的な性状や工法の概要、設計・施工上の留意点を述べる設問のほか、土留めに関する問題など、II―2とともに普遍的なテーマを中心に、一定の分野に絞った出題となっています。

 22年度のIIIは、新設の地盤構造物の調査・設計・施工に関する生産性向上、既存の地盤構造物の災害リスク対策でした。21年度の環境問題に対応した新技術の開発・導入、老朽化した地盤構造物の災害リスクを踏まえた維持管理の問題と同様、時事性が高いテーマです。土質基礎では以前から普遍的なテーマと時事性の高い設問が混在しています。

 したがって、普遍的なテーマを学習の基本に据えながら、時事的な出来事についても土質基礎との関連性を意識して勉強することが肝要です。

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