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(1)過去7年間の出題傾向

 都市計画は多くの分野から成り立っています。そこで、本書では過去の出題傾向と受験者の実際の業務内容に配慮して、出題領域を主に「公園・緑地」、「環境」、「交通」、「防災・減災」、「都市運営(マネジメント)」、「(中心市街地など特定の)市街地整備」、「(都市全体を対象とした)都市の再構築」の7つに分類しています。なお、2020年度は都市についてだけでなく、より広域の「国土整備」に関するテーマも出題されましたが、21年度と22年度は広域的な地方や国土計画を対象とした設問は見られなかったので、下の表では16年度から22年度までの出題概要を主に上記の7つの領域に分けて示します。

 II―1の出題では、同じ都市計画の分野であっても受験者の専門性が多様なので、上で示した7つの領域から幅広く出題されています。受験者がすべての専門分野をカバーするのは難しいですが、4問から1問を選択できるので、受験者の専門分野に近い問題を選ぶことは可能です。ここ数年は制度や法律などに関わるキーワードについて概説するだけでなく、構造的な知識が求められる出題が増えており、難度が上がっています。

 II―2は2問から1問を選択します。いずれも既に実務レベルで展開されている業務・制度のうち、時事性の高い話題が出題される傾向が強いです。「防災・減災」や「市街地整備」などの出題が多い一方、22年度は「歴史まちづくり」と「指定管理者制度」のテーマが出題されました。いずれも時事性が高い点に変わりはありません。出題傾向に変更はないと考えてよいでしょう。

 II―2は「応用能力」を問う問題で、テーマに関する実務的な専門知識を持っていないと答案作成が難しいです。答案を作成するには、問題のテーマに関連した法令や事業制度(手引きやガイドブック)を理解していなければなりません。例年、1問は複数の専門領域からのアプローチである程度対応できる問題が出題されていましたが、22年度は2問とも、テーマに関して相応の知識量が必要な出題でした。

 IIIも2問から1問を選択します。年度によっては応用能力に近い具体的な答案を求められる場合もありますが、基本的には我が国の都市計画におけるトレンディーで中・長期的なテーマが取り上げられます。いわばIの都市計画版です。各年度の出題概要表に示すように、グリーンインフラや新型コロナ危機など時事性の高いテーマが毎年追加される一方、今後も続く人口減少に伴う都市計画の課題を基にした出題が目立つ傾向にあります。

 最近は、防災関連の出題が途絶えています。脱炭素社会の構築等といった新たなテーマが出題されていないことも、試験を準備するうえでは気になる傾向と言えるでしょう。

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