(1)過去7年間の出題傾向
河川砂防は、受験者の専門性から河川、砂防、海岸・海洋の3つに大別できます。河川の分野には治水計画や利水計画、治水施設や河川構造物などが、砂防には地すべり防止などが、海岸・海洋には海岸の保全計画や海洋構造物などがそれぞれ含まれています。各分野ともに計画、設計、施工を対象としていますが、計画や設計に関する出題が多くを占めています。以下の表は2016年度から22年度までの7年間の出題概要です。II―1は4問から1問を選択して解答します。II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選びます。
専門知識を問うII―1では主に河川の分野から2問が、砂防と海岸・海洋からそれぞれ1問が出題されることが多い状況です。さらに、応用能力が問われるII―2や問題解決能力と課題遂行能力を対象としたIIIの論文では、受験者の専門性に配慮して、分野を選択できるような内容となっています。
ただし、II―1も含めて幅広い知識が求められており、この傾向は23年度も続く可能性が高いとみられます。22年度のII―1で出題された4問はおおむね、基準類を把握していれば解答できる形式でした。時事性の高い基準類は必ず、押さえておきましょう。II―2は災害復旧と避難行動に関する出題で、定番の分野です。IIIでは防災まちづくりと事業評価について問われました。いずれも時事性が高いテーマです。河川の受験者も含め、自身の専門分野からもう少し範囲を広げて知識を習得しておきましょう。出題のテーマは国土交通省のウェブサイトを閲覧し、審議会などで協議されている情報を収集すれば絞り込みやすいでしょう。なお、21年度まで問われていた解決策がもたらす波及効果は、22年度は問われませんでした。