(1)過去7年間の出題傾向
トンネルには大きく分けると山岳、シールド、開削の3つの分野があります。以下の表は2016年度から22年度までの7年間の出題概要です。専門知識や応用能力を問うIIの論文では、出題の約半分を山岳トンネルの分野が占めています。22年度も同様でした。開削トンネルとシールドトンネルの分野の出題は少なく、これらを専門とする受験者は自身の専門とは異なる分野の対策も必要です。さらに、22年度はII―2の設問の前段に重要な要素が記されており、これを踏まえて条件を読み取りながら応用能力を示す解答が求められました。
IIでは例年、計画や設計だけでなく、施工についても問われます。23年度も同様の出題範囲になると見込まれるので、計画や設計が実務の中心となる受験者は、施工などに関する対策も必要でしょう。勉強方法は22年度までと変わりません。過去の出題内容を基に、専門知識や応用能力を磨き、トンネル事業に関する最近の話題を把握しておきます。
22年度の出題についてもう少し詳しく見ていきます。II―1では山岳トンネルの分野から2問出題されました。1問は鋼製支保工の効果、もう1問は切り羽の観察項目を題材にしています。残り2問のうち、1問は開削工法における地下連続壁を本体利用する場合に設計で考慮すべき事項、もう1問はセグメント製作における品質管理のための検査の目的と内容を問う設問でした。
II―2では、山岳トンネルでは切り羽の安全性を確保するための補助工法が、開削またはシールドトンネルでは大深度トンネルを築造する場合の検討事項が、それぞれ問われました。
22年度のIIIは、1問が山岳トンネルを、もう1問は開削またはシールドトンネルを対象とした設問でした。いずれも計画や設計、施工などの各段階で多面的な観点から課題を抽出した後、複数の解決策を示すよう求めています。
小問(3)は、1問が新たに生じるリスクと対応策、もう1問が波及効果と懸念事項を尋ねる形式でした。23年度も同様の出題となると考えられます。