プライバシー性の高いデータ活用は、データ主体である本人や社会への利益還元に高い期待がかかる一方で、データガバナンスやデータ収集・加工など課題は多い。防災、教育、医療での具体事例を基に、パーソナルデータ活用の課題を整理し、今後を展望する。

特集
本人のため?社会のため?パーソナルデータ活用の現在地
目次
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防災DXでデータ活用の模索が始まる、自治体や企業が懸念する法的課題とは
大規模災害時の人命救助をはじめとする災害対策に向けたデータ活用が、デジタル庁や地方自治体などで動き始めている。ただプライバシー性の高い住民データの活用にはガバナンス(統治)についての議論が必須だ。
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困難抱える子の支援、先行する尼崎市・戸田市がデータ活用のガバナンスを整理
虐待や貧困などに直面する子どもやその家庭の状況は把握が難しく、支援の手が十分に届いていない。困難な状況にある子どもの発見に地方自治体などが保有するデータを活用しようという動きがある。こうしたプライバシー性が高いデータは、活用に際してガバナンスやデータ基盤の整理が必須だ。
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医療データ活用「アクセル」踏む法改正も、推進阻む2つの壁
患者の診療情報を収集し分析、創薬や新治療法開発に役立てる――。医療データをより活用しやすくすべく、2023年の通常国会に現制度の改正法案が提出される見込みだ。製薬会社や研究機関は、新薬の薬事承認を得るために日常診療で生まれる医療データを活用できるようになる。ただ、そのためには2つの壁がある。
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会津若松市で一歩先行く住民データの本人利用、ネット経由で自動化できる手続きとは
地方自治体が保有する住民データのほか、医療機関が保有する診療情報といったプライバシー性の高いデータの活用が進んでいる。今後こうしたデータ活用が進むに当たり、留意点はどこにあるのか。福島県会津若松市を例に見ていく。