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 スズキは2022年度通期(2022年4月~2023年3月)の世界販売台数(四輪車、以下同じ)を下方修正した。車載半導体不足の影響が続いているためである。同社が2023年2月7日に発表した同通期の世界販売台数によると、前回計画(2022年11月公表、以下同じ)に比べて1万8000台減の302万3000台を見込む。日本とアジアの販売台数を前回計画に比べて減らした。

 半導体不足による生産制約は日本国内の工場だけでなく、インドやハンガリーの工場にも及んでいる。2023年2月7日に電話会議システムを用いて開いた2022年度第3四半期累計(2022年4~12月)の連結決算(日本基準)会見で、スズキ専務役員の長尾正彦氏は、「世界で生産する十数車種が、半導体不足の影響を受けている。改善は進んでいるが、正常に戻るにはまだ時間がかかる」と述べた。

 世界販売台数は下方修正したが、2022年度通期の営業利益は上方修正した。前回計画に比べて200億円増の3100億円を見込む。最大の要因は、車両価格の引き上げ(値上げ)効果を含む売上構成変化(1495億円)である(図1)。

営業利益の増減要因(2022年度通期)
図1 営業利益の増減要因(2022年度通期)
(出所:スズキ)
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 スズキ副社長の鮎川堅一氏は、「(主力市場の)インドでは2022年に4回の値上げを行った。2023年1月にも実施した。またインドでは、価格の高い車種の販売も好調だった。インド以外の海外市場でも値上げを行った」と明かした。ただ日本での値上げは当面、行わない方針だ。長尾氏は「生活の足である軽自動車はもちろん小型車についても、値上げは慎重に対応する」と述べた。