日本で見慣れた水色のロゴ「SUNTORY(サントリー)」。テクノロジー見本市「CES 2023」(2023年1月5~8日、米ラスベガス)の「デジタルヘルス」エリアで、そのロゴを冠したブースはひときわ目立っていた。サントリーグループとしてCESに出展するのは初めてのことだ。なぜ同グループはCESに出展したのだろうか。
5つの試作品を初公開
CESに出展したのは、サントリーホールディングスの研究機能会社であるサントリーグローバルイノベーションセンター(東京・港)。CESでは5つの試作品を初公開した。そのうち4つはデジタルヘルスに関連するもので、同社のデジタルヘルス研究の一部がベールを脱いだというわけだ。ブースには実際に体験できるものがあり、それらの展示を一目見ようと多くの人が訪れていた。
デジタルヘルス関連の試作品は、AI(人工知能)を使ってスマートフォン(スマホ)で腸の音を解析するアプリ「GutNote(ガットノート)」、その場で足踏みをすると足裏にかかった圧力の情報から歩き方や姿勢のクセを分析して改善案などを提案するデバイス「GAITALYS(ゲイタリス)」、脳波や心電、筋電などのバイタル情報を計測して老化の状態を推定するウエアラブル端末「XHRO(クロ)」、様々な波長帯の光を用いて血糖変動のモニタリングを目指す「Glu-Finder(グル ファインダー)」である。その他に、食品由来の描画飲料で液体中に3次元のパターンを描ける「LiDR(Liquid Drawing)」も展示した。
スマホで腸が動いたときの音を取得するGutNoteの開発では、腸の音以外のノイズを除去するのに苦労したという。スマホのマイクは空間の音を広く拾ってしまうためだ。同社はオンキヨー(大阪市)の支援を受けながら、ノイズを排除して腸の音を解析するためのアルゴリズムを開発した。
GutNoteには、腸の状態を評価するだけではなく、食生活をアドバイスしたり排便の形状などを記録したりする機能も持たせた。定期的な記録を通じて、腸の健康維持に努めてもらうためだ。例えば、腸の活動が少な過ぎず、多過ぎないバランスがとれた状態であれば、腸の活動レベルが最も良いSランクとなる。腸の活動レベルに応じて「麦類を食べる」「良い油を取る」など、体調を維持するためのアドバイスを表示する。