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16TBの外付けSSDが3000円台で買える?

 外付けSSDは結構高価なはずなのに、16テラで3000円台といったトンデモ製品を大手通販サイトでも見かける(図1)。結論からいうと、これは真っ赤な偽物。詐欺商品なので注意したい。

16TBのSSDが通販サイトで3000円台
16TBのSSDが通販サイトで3000円台
図1 大手通販サイトで16TBのSSDが3000円台で売られていた。問題ない商品ならメチャお得。編集部で1台購入してみた
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 実際に購入したところ、通販サイトの説明通りの製品が届いた(図2)。パソコンに挿すと16TBの外付けSSDとして認識(図3)。もちろんウイルスの混入などはなく、正常な製品に見える。だが読み書き速度を計測してみるととんでもなく遅い(図4)。また、ファイルを正常に書き込めたように見えて、中身を開けない状況が頻発した。特殊なツールで調べてみると、64GB以上の整合性チェックで失敗している(図5)。64GB超は正常に書き込めないようだ。それもそのはず、分解してみると、中に64GBのmicroSDXCカードが入っていた(図6)。これを16TBのSSDに偽装していたわけだ。

見た目はまともでパッケージにも16TBの記載
見た目はまともでパッケージにも16TBの記載
図2 大手通販サイトの倉庫から発送する商品だったため、翌日には手元に届いた。金属製のケースで見た目はかなり良い。パッケージには、USB 3.1、16TBなどと記載されていた
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Windowsでは16TBと認識された
Windowsでは16TBと認識された
図3 USBでパソコンに接続したところ、エクスプローラーやこのプロパティ画面では16TBと認識された。データも問題なく書き込めている様子だったが……
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読み書きがとてつもなく遅い
読み書きがとてつもなく遅い
図4 「CrystalDiskMark」(ひよひよ氏作)で調べたところ、シーケンシャル読み書き速度はわずか15M~18MB /秒。外付けSSDは速い製品なら1000MB /秒、遅くても400MB /秒は出るはずなのに……
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64GB超を使うとデータが消える
64GB超を使うとデータが消える
図5 「H2testw」(c't Magazin für Computertechnik)を使い、実際に書き込める容量を調べた。書き込みは正常に完了するものの、ベリファイ(照合)では64GB(エクスプローラー上では58.3GB)を超えるデータでエラーが出ている。実際には書き込めていない
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分解すると中にはmicroSDが
分解すると中にはmicroSDが
図6 分解してみると、SDカードリーダーの制御チップとmicroSDXCカードを搭載した基板が入っていた。中身はSSDではなく、microSDXCカードで、容量を偽装した製品だった
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 現在の外付けSSDの相場は、安い製品でも1TBで1万円前後。また、4TBを超える製品は市場にほとんどない。それが念頭にあれば、このような詐欺製品にだまされることはないだろう。うっかり買ってしまっても、説明と実際の商品が異なる場合、大手通販サイトなら返品できる。

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