日米欧で加速するGAFAMへの規制強化の背景にあるのは高い市場シェア、それを通じた市場支配力への懸念だ。スマートフォンなどのモバイルOS分野は、米グーグルの「Android」と米アップルの「iOS」で世界シェアの99%を占める。検索エンジンはグーグルが9割超、SNS(交流サイト)は米メタの「Facebook」が6割超とそれぞれ断トツの首位だ(いずれもstatcounter調べ)。
デジタル広告やEC(電子商取引)もビッグテックの寡占状態にある。調査会社の米Insider Intelligence(インサイダーインテリジェンス)によると、米国のデジタル広告市場はグーグルとメタ、そして米アマゾン・ドット・コムの3社で6割を占める。グーグルとメタのシェア合計は2014年以来初めて5割を切ったとされるが、依然として高いことに変わりはない。
「高すぎる市場支配力は時として恐怖を生む。国をも動かしかねない支配力は、既存の国家にとって潜在的な脅威と映る」。ガートナージャパンの亦賀忠明ディスティングイッシュトバイス プレジデントアナリストは、各国が規制強化に動く背景をこう読み解く。
「グーグルやアップルが提供するアプリの方が、私たちが提供するアプリよりもスマートフォンの諸機能へのアクセスが容易なのではないか」「グーグルやアップルのアプリには手数料負担や審査がない。アプリストア内のランキングでも優遇されているのでは」。日本の公正取引委員会がまとめた報告書には、アプリ事業者の不満の声が並んだ。両社はモバイルOSやアプリストアを提供する立場を利用し、自社を優遇し競合事業者を排除し得る立場にあるという。
グーグルやアップルは「Androidに自社端末・アプリを優先する特性はない。アップデート情報は他の事業者にも自社と同じタイミングで提供している」(グーグル)、「App Storeでは全てのアプリに同じ検索アルゴリズムを適用している」(アップル)などと反論している。
アップルはロビー費3割増、したたかGAFAM
日米欧で進む規制に対して、当のGAFAMはどう動くのか。各社は自社の正当性を訴えつつも、当局の規制をある程度受け入れてビジネスモデルを見直す動きを見せ始めた。