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プログラミング言語「Python」は広く使われるようになり、高い人気を誇る。この特集では、Pythonで自動化アプリを自作できるようになるための最低限の知識を紹介する。

 第3部では、第2部で学んだPythonの基礎知識を生かして、アプリケーションを2つ作っていきます。

ファイルコピー&リネーム自動化アプリ

 1つ目のアプリは、題して「ファイルコピー&リネーム自動化アプリ」です。

 皆さんは普段の仕事などで、書類のテンプレートファイルを1つ用意しておき、それを毎回コピーしてファイル名を適宜変更する、といった作業をしていないでしょうか?例えば、請求書のテンプレートを1つ用意し、それを毎月顧客ごとにコピーし、顧客名や日付などでファイル名を変更するといった作業です。

 こんな単純で面倒な作業は、Pythonのプログラムで自動化しましょう。

 ここで作成するアプリの概略は、「請求書のテンプレートファイルのコピーおよび名前変更(リネーム)の自動化」です。機能の全体像は図1です。具体的な仕様は以下とします。

図1 ●「ファイルコピー&リネーム自動化アプリ」の機能の全体像
図1 ●「ファイルコピー&リネーム自動化アプリ」の機能の全体像
[画像のクリックで拡大表示]

■テンプレートファイル名
請求書ひな形.xlsx

■テンプレートファイルの格納先
ホームディレクトリ以下の「template」フォルダー

■リネーム後の請求書ファイル名の形式
請求書<顧客名>様<年>年<月>月<期>.xlsx

・<顧客名> 顧客名
 「A建設」「B電機」「C運輸」「Dフーズ」の4社
 顧客のリストをあらかじめ用意

・<年> 年
 年の数値を画面から入力
 input関数を利用。入力メッセージ「年:」を表示

・<月> 月
 月の数値を画面から入力
 input関数を利用。入力メッセージ「月:」を表示

・<期>1~6月なら「(上半期)」、7~12月なら「(下半期)」
 月の数値から判別

■リネーム後の請求書ファイルの格納先
ホームディレクトリ以下の「invoice」フォルダー

 例えば、顧客名が「C運輸」、年が2022、月が11ならば、リネーム後のファイル名は「請求書C運輸様2022年11月(下半期).xlsx」になります。<期>の部分は11月なので、「(下半期)」が入ります。

 今回、請求書のファイルはExcel(拡張子「.xlsx」)にしていますが、ほかのアプリケーションやPDFなど、あらゆる種類のファイルでも使える自動化プログラムです。