分散型ID(Decentralized IDs)と、それに関連する検証可能な資格情報(VC:Verifiable Credential)は、それぞれ識別子に関連するいわば属性であり、単なるデータモデルにすぎない。これらを実際に活用するには、データを受け渡す仕組みや検証する仕組み、取り消す仕組みなど、関連する複数の技術が標準化される必要がある。
今回は分散型IDの詳細を説明する。
分散型IDはURIで表現
W3Cが定めた分散型IDの仕様であるDIDは、識別子そのものの形式、データモデル、識別子からデータへの解決という3つから成り立っている。この識別子も「DID」として定義されている。以下DIDと記述するときは、この識別子を指す。またここでのデータモデルとは、識別子に関するメタデータである「DIDドキュメント」の構造を定義したものである。
DIDドキュメントの中の特定の要素を指定するように、URL(Uniform Resource Locator)のスタイルでパスやクエリーを追加したものが「DID URL」である。このDID URLを介して、DIDはDIDドキュメントを指し示す。
DIDドキュメントには検証するのに必要な情報が格納される。これをブロックチェーンなどで構築したデータベースである「検証用データリポジトリー」に登録する。
DIDはURI(Uniform Resource Identifier)に準拠した形式になっている。DIDであることを示す「スキーム」と「DIDメソッド」、および「DIDメソッド固有の識別子」で構成される。DIDメソッドとはDIDドキュメントを格納する基盤を識別する文字列で、ビットコインなら「btcr」、イーサリアムなら「ethr」、Webサイトを使う場合は「web」など、登録された名称が用いられる。それに続く文字列が、DIDメソッドごとに決められた一意の識別子である。