海を越えて大量の水素を運べる世界で唯一の船。それが川崎重工業が開発した液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」である。前人未踏の領域での開発に技術者たちの前には難題ばかりが山積した。ひるまずに立ち向かった彼らの奮闘に迫る。

特集
川崎重工「すいそ ふろんてぃあ」開発物語
目次
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第3回 「こんな図面でどやって造れっちゅーねん」、川崎重工で衝突した船舶とプラントの両部門
白熱した議論の末、ついに世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の基本的な設計を固めた川崎重工業(以下、川崎重工)の開発チーム。2016年には二酸化炭素(CO2)フリーの水素サプライチェーン構築を目指した技術組合「HySTRA」が発足し、川崎重工はその一員として液化水素運搬船を受注した。国か…
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第2回 「こんなん使えへん」、材料探しの底なし沼にはまった川崎重工のタンク開発
海を越えて水素を運べる世界初の船である「すいそ ふろんてぃあ」。川崎重工業(以下、川崎重工)の社内でその開発が本格化したのは2010年代前半のことだった。-253℃を維持し、水素を液化状態で保つ貯蔵タンクの構造には大いに頭を悩ませたが、苦心惨憺(くしんさんたん)の末に船舶用タンクとして異例の「真空…
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第1回 日の丸は二度と負けない、-253℃で水素を運ぶ川崎重工「すいそ ふろんてぃあ」
次世代エネルギーとして期待が高まる水素。実用化するには安価な水素の安定供給が必須となる。この要件を満たすべく川崎重工業(以下、川崎重工)が開発したのが、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」だ。