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 スペイン・バルセロナで2023年2月27日~3月2日に開催された携帯電話業界最大の見本市「MWC Barcelona 2023」では、中国の新興メーカーなどが最新の旗艦スマホやコンセプトモデルを発表していた。スマホ市場の勢力図を塗り替えているメーカーの最新モデルを紹介しよう。

高度化が進む中国新興スマホのカメラ

 ここ数年来、ネットワーク関連技術に注目が集まり、スマホの存在感が薄くなっているMWC Barcelona。だが、MWC Barcelona 2023には多くのメーカーが集結し、最新スマホを展示していた。

 ただ勢力図は新型コロナウイルス禍以前と比べて激変した。ソニーや韓国LG電子など古参メーカーの展示ブースは軒並み姿を消し、台湾の宏達国際電子(HTC)も展示の主体をVR(仮想現実)関連に完全シフト。残る主要メーカーは韓国サムスン電子だけという状況だ。

 一方で勢力を大きく拡大しているのは、日本にも進出を果たしているOPPO(オッポ)や小米(シャオミ)などの中国メーカーである。中国メーカーは新興国を主体に販売を伸ばしてきたが、スマホ市場全体の飽和傾向を受け、欧州を中心に先進国への販路拡大を推し進める姿勢を見せている。最近ではハイエンドモデルに力を入れており、MWC Barcelona 2023に合わせて発表されたスマホも高機能カメラを搭載したものが目立った。

スマホメーカーが集結するMWC Barcelonaのホール3は、古参メーカーが姿を消し、シャオミなど中国の新興企業が大きなブースを構えるようになった
スマホメーカーが集結するMWC Barcelonaのホール3は、古参メーカーが姿を消し、シャオミなど中国の新興企業が大きなブースを構えるようになった
(写真:佐野 正弘)
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 シャオミは開幕に先駆けて新製品発表イベントを開き、「Xiaomi 13」シリーズ3機種の世界展開を打ち出した。中でもXiaomi 13 Proはメインカメラにソニー製の1インチの大型イメージセンサー「IMX989」を搭載。独ライカカメラの技術を取り入れた8枚構成のレンズを用いることにより、プロ品質で撮影できる点をアピールしていた。

 同構成のカメラは接写に弱いが、5000万画素の望遠カメラに、内部レンズが動くフローティングレンズ構造を採用。望遠だけでなく接写にも活用できるようにすることで弱点を補い、幅広いシチュエーションをカバーできるようにした。

シャオミがグローバル展開を発表した「Xiaomi 13 Pro」。広角カメラには1インチのイメージセンサーを、望遠カメラにはレンズが動くフローティングレンズ構造を取り入れた。ライカカメラ品質の写真を幅広いシチュエーションで撮影できるのが特徴だ
シャオミがグローバル展開を発表した「Xiaomi 13 Pro」。広角カメラには1インチのイメージセンサーを、望遠カメラにはレンズが動くフローティングレンズ構造を取り入れた。ライカカメラ品質の写真を幅広いシチュエーションで撮影できるのが特徴だ
(写真:佐野 正弘)
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 シャオミと同様、MWC Barcelonaでカメラに特徴のあるスマホを発表したのが、米国の制裁を受けて中国・華為技術(ファーウェイ)から独立したHONOR(オナー)である。同社も新製品発表イベントを開き、「Magic 5」シリーズ2機種のグローバル展開を発表した。

 上位モデルのMagic 5 Proは、広角・超広角・望遠すべてのカメラに5000万画素のイメージセンサーを搭載。中でも望遠カメラは最大100倍のデジタルズームに対応するなど、サムスン電子の「Galaxy S23 Ultra」に匹敵するズーム性能を備える。

オナーがグローバル展開を打ち出した「Magic 5 Pro」。望遠カメラを用いて最大で100倍ズームに対応するなど、こちらも高いカメラ性能を備える
オナーがグローバル展開を打ち出した「Magic 5 Pro」。望遠カメラを用いて最大で100倍ズームに対応するなど、こちらも高いカメラ性能を備える
(写真:佐野 正弘)
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