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ECUは100%内製へ

 さらに同氏は、次世代EVのネットワークについても、その方向性を示した。ECU間のネットワークにEthernetを全面的に採用し、各アクチュエーター/センサーが最も近いECUに接続する形態をとるという(図3)。 

 「サイバートラックでは、(アクチュエーターなどを結ぶ)ワイヤが最も近いECUに接続され、それらのECU同士がEthernetを介して接続される形態となる。ワイヤからECUに流れ込むデータは、ネットワークパケットに変換され、車両内の適切な場所に配送される。これを実現するためには、ネットワークは信頼性が高く、低遅延と低ジッターを備えている必要があるが、これらは現在の設計で達成できた。ただ、サイバートラックでは、車両を横切るようなワイヤが残っている。次世代プラットフォームでは、それらすべてを排除する」(Bannon氏)。

図3 サイバートラックの車載ネットワーク
図3 サイバートラックの車載ネットワーク
車両をぐるりとめぐるようにネットワークが形成されている(出所:Tesla)
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 このアーキテクチャーを実現するために、次世代EVにおいて、ECUは100%テスラの内製とする(図4)。なお、内製率はこれまでも増やし続けており、2017年に投入した「モデル3」では56%、2020年に投入した「モデルY」では61%、サイバートラックでは85%が内製となるという。

図4 コントローラー(=ECU)の内製率
図4 コントローラー(=ECU)の内製率
次世代EVプラットフォームでは100%とする(出所:Tesla)
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 Bannon氏と共に説明に立った同社vice president of Software EngineeringのDavid Lau氏は、「すべてのECUを内製化することで、個別のECUを制御するのではなく、ECU全部を群としてソフトウエアで制御できるようになり、柔軟で動的な制御ができるようになる」とした(図5)。

図5 モデルSとモデル3の車載ネットワーク
図5 モデルSとモデル3の車載ネットワーク
ハーネスを減らし、ソフトウエア制御しやすく、デバッグしやすいようにシンプル化を進めた(出所:Tesla)
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 加えて、ネットワークをEthernetで統一することでシステム障害の切り分けが容易になるという。「単一の接続を介して、以前はデバッグできなかった車両全体を見ることができる」(Bannon氏)ためだ。初期の量産車である2012年に投入した「モデルS」では、「部品メーカーから提供されたECUをテスラが組み上げるような形になっていた。グローブボックスの照明用といったありふれたものから、インフォテインメントシステム向けコンピューターのような複雑なもの、エアバッグやブレーキなど安全に関わるものまで、すべて個別に切り出された低電圧のハーネスと、圧着されたコネクターで接続されていた。問題が起きたとき、原因がハーネスなのか、コネクターなのか、コントローラーのソフトウエアなのかを切り分けるのが困難だった」(Lau氏)という(図6)。

図6 モデルSのハーネス
図6 モデルSのハーネス
非常に煩雑だった(出所:Tesla)
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