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世界3大クラウドが進化を続けている。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「AWS(Amazon Web Services)」、米Microsoft (マイクロソフト)の「Microsoft Azure」、米Google(グーグル)の「Google Cloud」である。最近ではDX(デジタル変革)推進のニーズを受けて、アジャイル開発や高度なデータ分析に必要な機能に注目が集まる。今どのクラウド、どのサービスが秀でているのか。3大クラウドのサービス内容、機能、サポートなどについて39項目で徹底比較する。

 AWS、Microsoft Azure、Google Cloud――これらを世界3大クラウドと呼ぶことに異論はないだろう。売上高や利用実績などで他に抜きんでている現状は、グローバルだけでなく日本市場でも同様だ。

 3大クラウドは進化を続け、新たなサービスや機能を切れ目なく投入している。そのモチベーションの1つがユーザーニーズの充足にあるのは間違いない。最近では、コスト効率化を狙った移行先としての役割に加え、DXを推進するための基盤として存在感を増している。

 DX推進に求められるユーザーニーズは大きく2つある。1つは新たなサービスを迅速に生み出すための「アジャイル開発の支援」、もう1つは大量のデータを集めてより深い洞察を得るための「高度なデータ分析」だ。例えば、アプリ開発を高速化するコンテナ活用の機能、データ分析に向けた各種データベース、データウエアハウス(DWH)などは、3社がこぞってサービス拡充に力を注いでいる分野である。

 こうした動きがある一方、ユーザーの利用法に変化はあるのか。アクセンチュアの西村雅史テクノロジー コンサルティング本部インテリジェントクラウド アンド インフラストラクチャー グループ日本統括マネジング・ディレクターは「現状、クラウド移行は進んでいるものの、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を活用した単発のクラウド移行にとどまっており、価値創出に向けてさまざまな課題に直面している企業が多い」と話す。ただし「新規ビジネスに関してはゼロベースで新しいクラウド基盤を構築し、価値創出を目指すケースも出てきている」と、DX推進基盤としての活用法に着目する。

人気者、優等生、天才肌が大競争

 3大クラウドの比較を始めるに当たり、まずはそれぞれの強みに着目しキャラクター(特徴)付けをしてみよう。

3大クラウドをキャラクター付け
3大クラウドをキャラクター付け
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 3社の中でクラウドサービスを真っ先に始めたのはAWSで2006年に遡る。「徹底した顧客志向」をかかげ利用実績も豊富なAWSのキャラクターは「人気者」である。そのAWSに追い付け、追い越せとばかり地道にサービスを拡充してきたのがMicrosoft Azure。ほとんどのサービスにSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を定める生真面目さも加味し、付けたキャラクターは「優等生」だ。最後のGoogle Cloudのキャラクターは「天才肌」である。Google検索をはじめ自社サービスの運用で磨いてきた先進的なサービスを次々と世に送り出している。

 実はこれらキャラクター付けは、2018年に比較調査した際に行ったものだ。それから5年を経て、3大クラウドはどう進化してきたのか。本特集では8回にわたり3大クラウドを39項目を通じて徹底比較する。今回は、各クラウドの5年間の進化についてポイントを押さえる。