世界3大クラウドが進化を続けている。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「AWS(Amazon Web Services)」、米Microsoft (マイクロソフト)の「Microsoft Azure」、米Google(グーグル)の「Google Cloud」である。最近ではDX(デジタル変革)推進のニーズを受けて、アジャイル開発や高度なデータ分析に必要な機能に注目が集まる。今どのクラウド、どのサービスが秀でているのか。3大クラウドのサービス内容、機能、サポートなどについて39項目で徹底比較する。
今回はリージョンといったクラウド設備、ユーザー会やパートナー、競合他社との関係など機能面以外のアップデートを比べて行こう。ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの考え方では3社で温度差がある。
まずは設備規模から見ていこう。3社で共通しているのは、DX(デジタル変革)を推進するための基盤として後押しを受けたことによる規模の拡大だ。Microsoft Azureは海外を中心にデータセンターの増設を進めており、リージョン数だけで見れば約60と他の2社の倍近い。2019年には東日本リージョンにおいて可用性ゾーンの一般提供を開始している。
一方、AWSは2021年に、Google Cloudは2019年に、それぞれ大阪リージョンを新設。国内東西で冗長構成を組めるようになった。
利用者の顔ぶれに変化はあったのか。5年前と比較すると金融や食品、自治体など幅広い業界のユーザーを獲得している。利用者数の増加に伴いユーザー会の存在感が増している。ユーザー会の拡充を通じ、各社が求心力を競ってきた。
Google Cloudの国内エンタープライズ企業向けコミュニティー「Jagu'e'r(ジャガー)」は2021年に活動を開始し、その参加者数は2000人を超える。20以上の分科会が開かれており、金融・小売りといった業界単位だけでなく、基幹システムやサステナビリティーといったユニークなくくりもある。分科会の中で交流が生まれ、活発に情報交換しているという。
グーグル・クラウド・ジャパンの菅野信執行役員は「従来のコミュニティー『GCPUG(Google Cloud Platform User Group)』は開発者中心だったが、エンタープライズ領域のユーザーの勢いが増している」と話す。Google Cloudの用途の幅が広がり、ユーザー企業にとって身近な選択肢になってきたことがうかがえる。
AWSとMicrosoft Azureのコミュニティーにおいても同様にユーザー企業の存在感が増している。Microsoft Azureはエンタープライズ企業向けコミュニティー「MICUG(Microsoft Cloud Users Group for Enterprise)」を2022年10月に新設、6000人以上が参加する。企業向けコミュニティーとしてはAWSの「E-JAWS」が有名だが、Google CloudとMicrosoft Azureもそれを追う形で充実を図ってきた。