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世界3大クラウドが進化を続けている。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「AWS(Amazon Web Services)」、米Microsoft (マイクロソフト)の「Microsoft Azure」、米Google(グーグル)の「Google Cloud」である。最近ではDX(デジタル変革)推進のニーズを受けて、アジャイル開発や高度なデータ分析に必要な機能に注目が集まる。今どのクラウド、どのサービスが秀でているのか。3大クラウドのサービス内容、機能、サポートなどについて39項目で徹底比較する。

 今回は、3大クラウドが提供するデータベースサービスを比較する。リレーショナルデータベース(RDBMS)、NoSQLデータベース、データウエアハウス(DWH)の順で、2018年からの5年の進化を見ていこう。

 まずはRDBMSである。最近のユーザーの利用動向を見ると、クラウド上のRDBMSの用途は大きく2つに分けられる。1つは、オンプレミス(自社所有)環境で稼働している既存RDBMSの受け皿だ。Oracle DBやMicrosoft SQL Serverといったオンプレミス環境でシェアの高い製品の移行先として、クラウドはマネージドサービスの選択肢を用意している。

リレーショナルデータベース、NoSQLデータベース、データウエアハウス(DWH)の比較
リレーショナルデータベース、NoSQLデータベース、データウエアハウス(DWH)の比較
(出所:各社へのヒアリングを基に日経クロステック作成)
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 RDBMSの種類が最も多いのはAWSで、Amazon RDSではMySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、MariaDBが利用可だ。Amazon AuroraもMySQLまたはPostgreSQLのインターフェースを備える。オンプレミス環境からOracle DBやMicrosoft SQL Serverをそのまま移行してもよいし、MySQLやPostgreSQLへ乗り換えるのも一策だ。

 一方、オンプレミス環境からのRDBMSの受け皿が比較的少ないのがGoogle Cloudだ。PostgreSQL互換の「AlloyDB for PostgreSQL」を2022年5月に発表し、ようやく一歩前進した。AlloyDBは単なるマネージドサービスではなく、コンピュートとストレージのレイヤーを分けたアーキテクチャーを採用し高速化しているところにGoogle Cloudのこだわりが見える。

 Microsoft AzureはOracle DBのサポートに当たり、Oracle Cloud Inftastructure(OCI)との連係ソリューション「Oracle Database Service for Microsoft Azure」を活用する。Microsoft Azure上のアプリからOCI上のOracle DBに低レイテンシーでアクセス可能である。ただし、1つのシステムの中でアプリとDBがマルチクラウドに分かれるシステム構成が受け入れられるかどうかは未知数だ。