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世界3大クラウドが進化を続けている。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「AWS(Amazon Web Services)」、米Microsoft (マイクロソフト)の「Microsoft Azure」、米Google(グーグル)の「Google Cloud」である。最近ではDX(デジタル変革)推進のニーズを受けて、アジャイル開発や高度なデータ分析に必要な機能に注目が集まる。今どのクラウド、どのサービスが秀でているのか。3大クラウドのサービス内容、機能、サポートなどについて39項目で徹底比較する。

 今回は3大クラウドを追撃するクラウドの1つ、米Oracle(オラクル)の「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を取り上げる。OCIは2022年10月、デジタル庁が進めるガバメントクラウドの対象サービスにMicrosoft Azureとともに加わり、存在感が増している。その強みはどこにあるのか探っていこう。

 OCIの一番の強みは、何といっても「Oracle Database(DB)」の稼働環境としてベストである点だ。オンプレミス(自社所有)環境で利用中のDBで、Oracle DBはトップシェアを誇る。Oracle DBのクラウド移行に当たり、OCIであれば従来の設定や管理手法などを一切変える必要がない。

サービスの品ぞろえを拡充、価格性能比の高さも訴求
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 もちろんAWSやMicrosoft Azureの仮想マシンにOracle DBを導入すれば利用は可能だし、Amazon RDS for Oracleといったマネージドサービスへ移行することも考えられる。ただしOCIへの移行に比べて、必要なライセンス数が多くなり割高になるのがネックだ。

 オンプレミス環境で稼働中のOracle DB EE(Enterprise Edition)のライセンスをクラウドに持ち込む「BYOL(Bring Your Own Licence)」で比較してみよう。AWSやMicrosoft Azureでは、オンプレミス環境で保有する1Processorライセンスを2vCPUとカウントする(マルチスレッディングが有効な場合)。一方、OCIでは同じライセンスを2OCPUに換算する。OCPUとは物理コアを指すので、マルチスレッディングを使えば4vCPUに相当する。つまり単純に比較すると、AWSやMicrosoft Azure上で必要なライセンス数はOCIの2倍になる。

 クラウド移行を機にOracle DBから別のDBへ移行したい――。こうした「脱Oracle」の声が聞こえてくる背景には、AWSやMicrosoft Azureへ移行するとライセンス数が倍増してしまうユーザーの悩みがある。