Rapidus(ラピダス)が「異種チップ集積」(ヘテロジニアスインテグレーション)で動き出す。日本国内には多数の半導体材料メーカーや装置メーカーがひしめく半面、これらの企業に技術開発の方向性を示し、引っ張っていくファウンドリーやOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly & Test、後工程受託製造)が不在だ。そのため異種チップ集積の開発の主導権は、米国や台湾、韓国などの企業が握る。この状況を変えるべく、2022年8月に設立されたラピダスが、後工程にも手を伸ばし、異種チップ集積の開発をリードしようと動き始めた。
同社 専務執行役員で3Dアセンブリ本部長の折井靖光氏は日経クロステックの取材に対し、「ラピダスは2nm世代の半導体製造だけでなく、後工程であるヘテロジニアスインテグレーションにも本気で取り組む。材料開発は5年10年かかるので、(開発の道しるべとして)まずは半導体の製造企業がロードマップを示す必要がある。今後、国内でそのロードマップをつくるのはうち(ラピダス)にとって重要な仕事になる」(同氏)と語り、鼻息は荒い(図1)。
実際、ラピダスのホームページには、同社は国内外の素材産業や装置産業の協力のもとで2020年代後半に「次世代の3次元LSI」技術を確立するとの記載がある(図2)。国内の大学や研究機関が参加する技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC:Leading-edge Semiconductor Technology Center)や、国内の既存のコンソーシアムとも連携する(図3)。ロードマップ策定に当たっては、半導体のユーザー企業にニーズや将来計画を調査する。
同社は設立に際して2nm世代プロセスの量産を目標に掲げた。ただ技術確立には時間がかかり、2027年前後となる見通し。パッケージングに詳しい技術者は「一足飛びに2nm世代プロセスの事業化を目指すのは難しいため、その開発と並行して付加価値の高い後工程も重要視しているのではないか」とみる。ただし、2023年3月末時点では具体的な動きは表面化していない。
日本の後工程産業は復興できるのか——。折井氏は、「国内には多くの優れた材料メーカーがあり、その材料が台湾や韓国などの最先端パッケージで使われている。そうした材料メーカーと緊密に連携していけば、海外にキャッチアップしていけるだろう」と、国内の材料メーカーがカギを握るとみる。