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 NTTが次世代ネットワーク構想「IOWN」の実現に向け、技術・サービスの開発を進めている。次世代構想であるものの、その構想の一部である低遅延なネットワーク「APN IOWN1.0」の提供が2023年3月に始まった。IOWN構想は多岐にわたる。Q&A方式でIOWNの全体像を見ていこう。

Q4:NTTが推進するIOWN構想、他の通信事業者は参加しない?

Q5:通信事業者以外の企業は参加しないの?

Q6:APN IOWN1.0の「超低遅延」サービス、何が「超」?

Q7:光電融合技術の実装ってどのように進んでいくの?

Q4 NTTが推進するIOWN構想、他の通信事業者は参加しない?

 NTTが開発を進めるIOWN構想の仕様を検討する組織「IOWN Global Forum」がある。この組織にはNTTだけでなく、KDDIや楽天モバイルといった通信事業者が参加している。KDDIは2023年3月に加入したばかりだ。さらに、ソフトバンクも加入を検討している。

 NTTとKDDIは2023年3月17日、IOWN Global Forumと別に、光ネットワーク技術の標準化に向けて基本合意書を締結したと発表した。内容の一例としては、低消費電力・低遅延などの利点があるオールフォトニクス・ネットワークの伝送方式の標準化などを掲げている。

KDDIが発表したニュースリリース
KDDIが発表したニュースリリース
(出所:KDDI)
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 ソフトバンクは現時点で未加入であるものの、2023年3月24日に日経クロステックの取材を通してIOWN Global Forumへの加入を検討していることが判明した。現在は加入に向けて準備中だという。大手通信事業者が集結するため、次世代情報通信基盤としてIOWN構想の重要度が高まったといえる。

Q5 通信事業者以外の企業は参加しないの?

 IOWN Global Forumには、通信事業者のほかに、米Intel(インテル)や米Microsoft(マイクロソフト)、ソニーグループ、富士通、NEC、三菱UFJ銀行なども名を連ねている。次世代情報通信基盤に対し、様々な業界が期待を寄せている証左といえる。

「IOWN Global Forum」に加入する企業
「IOWN Global Forum」に加入する企業
(画像:日経クロステック)
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 またIOWN Global Forumと別に結びつきを強固にしている一例として、NTTは2021年4月に光電融合デバイスの開発・製造を進めていくため、富士通と提携している。富士通が持つコンピューティング技術や、半導体の実装能力を生かすためだ。

 共同開発を円滑に進めるため、NTTエレクトロニクス(NEL)が、電子機器や半導体の開発・製造を手掛ける富士通子会社の富士通アドバンストテクノロジ(FATEC)の株式を富士通から66.6パーセント取得。FATECは社名をNTTエレクトロニクスクロステクノロジと変更した。