日本車史上の最高傑作の1つとも評されるクルマ、それが初代「レクサスLS400」だ。1989年に市場投入されるや世界中で絶賛の嵐。高級車市場をけん引してきたドイツMercedes Benz(メルセデス・ベンツ)の競合車を凌駕(りょうが)し、世界の高級車の新たなスタンダードとなった名車だ。だが、その開発の真実は30年以上秘密のベールに包まれてきた。世界を驚かせる「価値」を創るとはどういうことか。初代レクサスの「真の開発物語」を、車両コンセプト(基本構想)から発表まで全てに携わった「伝説の技術者」である櫻井克夫氏が語り尽くす。

櫻井 克夫(さくらい・かつお)
1940年茨城県水戸市生まれ。東北大学工学部在学中に高性能複座グライダーの開発設計に従事。運輸省(現国土交通省)より型式証明キュムラス型(IA2101)を取得。1965年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。内装設計、ボ デー設計を経て製品企画室Z(車両開発司令部)。トヨタ初のFF(前部エンジン・前輪駆動)車(「ターセル」「コルサ」「カローラⅡ」)の製品開発を担当。第25回東京モーターショーカー「FX-1」の企画・開発を担当。1984年から5年間、初代レクサス「LS400」主担当員として、企画から新車発表までを担当。1989年から「センチュリー」の主査(現チーフエンジニア)として、四半世紀ぶりのフルモデルチェンジの企画・開発を担当。1994年、東海理化に転籍。セーフティ部門を担当し、2002年専務取締役で退職。恵那東海理化社長を経て、コンサルタントとして製品企画、開発マネジメントを指導。タイコーデバイス顧問、豊田エンジニアリング上級コンサルタント(スリランカアパレル企業MAS社指導)、日本化薬顧問。