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 工場での自動搬送車(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)などによる自動搬送システムの導入が進んでいる。しかし、搬送物のサイズや質量が大きくなると、一般的なAGVやAMRでは対応しきれない場合がある。大量の部材を一度に搬送するのにも不向きだ。だからといって大型部材や大量部品の搬送用に独自のAMRを製造するのはコストがかかりすぎる。

図1 自動けん引車の「TractEasy」
図1 自動けん引車の「TractEasy」
最大けん引重量25t。LiDAR(レーザーレーダー)を正面と側面にそれぞれ2基、GPS(全地球測位システム)を1基搭載しており、それらを使って自己位置を検出する。位置特定の誤差は数cm程度。マニュアルに切り替えれば人による運転もできる。(写真:三菱ふそうトラック・バス)
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 こうした課題の解決策として、既存の小型電動トラクター(けん引車)に車載コンピューターなどを後付けして、自動搬送できるシステムの導入に取り組んでいるのが三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)だ。同社川崎製作所(川崎市)では、電気自動車(EV)タイプの自動けん引車を導入して無人で荷物を運ぶ実証実験を進めている(図1)。特定の条件下では原則として自動運転する「レベル3」(緊急時などには人が操作する条件付き自動運転)での導入を目指す(図2)。

図2 2022年11月に実施した実証実験の様子
図2 2022年11月に実施した実証実験の様子
(写真:三菱ふそうトラック・バス)
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