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 オンライン英会話のレアジョブは、無料登録ユーザー数が累計100万人に上る「レアジョブ英会話」で、ChatGPTを活用した新機能の提供に乗りだす。レッスン中、受講者が自身のレベルに応じたサポートをチャット形式で利用できるようにすることで、成長を後押しするのが狙いだ。まずはベータ版として2023年4月26日にも一部の受講者を対象にリリースする見通し。

 「単語が分からないために新しいフレーズを使うことを諦めてしまっては、英会話力が伸びない」。レアジョブの福田侑也執行役員CMO(最高マーケティング責任者)M&B 戦略本部長は語る。使える英単語の範囲内でレッスンを受けるだけでは、様々なシーンで深い内容の会話をする能力が身に付きづらい。

 そこでレアジョブは、講師とのレッスン中に利用できる「レッスン AI アシスタント」というチャット機能を導入する。受講者が使いたい単語を日本語や英語で入力すると、翻訳やお薦めの表現などを提示する。「一旦発話してみることができる。その場でインプットとアウトプットをすることが可能だ」(福田執行役員)。

レアジョブが「レアジョブ英会話」に実装する「レッスン AI アシスタント」機能(画像左下)
レアジョブが「レアジョブ英会話」に実装する「レッスン AI アシスタント」機能(画像左下)
(出所:レアジョブ)
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 レッスン AI アシスタントのような構想は以前からあったものだという。ただし、いざ実装するには開発工数がかかる。しかも、実際にどれだけのユーザーが利用するかは読めない。「ChatGPTは機能もぴったりで、開発工数も膨らまずに済む」(福田執行役員)こともあり、実現に踏み切った。

 特にこだわったのは、受講者の英会話レベルに合わせた内容を返すようにした点だ。実力に合わない難しい内容を提示してしまうと、その場で発話はできても学びには結びつきにくい。

 レベルに応じた回答を出し分けるに当たって、レアジョブにはアドバンテージがあった。同社は語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」に準拠したスピーキングテストを提供しており、受講者の英会話レベルを把握できる立場にある。加えて、ChatGPTでの学習量が限られるローカルな試験に比べて、世界標準であるCEFRは「相当な学習量を積んでいた」(福田執行役員)。

英会話レッスンに必要な返答だけを提示

 ChatGPTに関するプロジェクトを技術面でリードするレアジョブテクノロジーズの羽田健太郎執行役員CTO(最高技術責任者)は、「プロンプトの検証が重要だ」と語る。英会話レベルを考慮することも含めて、適切な回答を返すためのプロンプトエンジニアリングに時間をかけたという。

 受講者がレアジョブ英会話で入力した文章は、レアジョブがあらかじめ用意したフォーマットに落とし込んだ上でChatGPTに送信、期待する回答が返ってくるように制御する仕組みだ。受講者が直接質問を入力しても、有効な返答を受けられるとは限らない。検証を重ねることで、英会話レッスンに必要な返答だけを提示できるようにした。