ただahamoの海外ローミングには制約もある。1つは80GBのデータ通信量を追加できる「大盛りオプション」を契約していても、海外で利用できる通信量は20GBまでだということ。
そしてもう1つは、海外で最初にデータ通信をしてから15日経過後の日本時間0時以降、通信速度が128kbpsに制限されてしまうことだ。この制限はお金を支払っても解除できない。日本に帰国しないと解除できないので、長期滞在には不向きだ。
一方のRakuten UN-LIMIT VIIは、データ通信量に応じて月額1078円から3278円まで変化する段階制のプランだが、こちらも追加料金を支払うことなく1カ月当たり最大2GBのデータ通信を海外で利用できる。利用できる国・地域は69とahamoより少ないものの、主要な国々はおおむねカバーしている。
また通信量は2GBと少ないが、ahamoとは異なり1GB当たり500円で通信量を追加できる。加えて「Rakuten Link」アプリを使えば、無料で日本に電話をかけられるというメリットもある。
ちなみにahamoやRakuten UN-LIMIT VIIは維持費が比較的安いので、海外に行くことが多い人ならばサブ回線として契約しておくという手もある。筆者はもともと楽天モバイルの回線を契約していたので、海外に持参した1台のスマートフォンには楽天モバイルのSIMを入れて活用していた。このためこの1台については料金がかからなかった。
eSIMの海外向け通信サービスが手軽で安価
ここまでお得なサービスをいくつか紹介した。これらのサービスの対象外になる人はどうすればよいだろうか。具体的にはMVNOのサービスやKDDI「povo 2.0」の利用者、小容量プランを契約していて「海外での通信費をローミングよりも安くしたい」という人だ。
そのような人はeSIMを使うのがベストだろう。最近はeSIMを使って海外ローミングサービスを提供するMVNOが増えている。こうしたサービスを、米Apple(アップル)の「iPhone」シリーズや米Google(グーグル)の「Pixel」シリーズなどのeSIM対応スマートフォンで使えば、海外でのデータ通信を手軽に利用できる。
そういったサービスとしては、「GigSky」「Airaro」「Holafly」などが挙げられる。好みのサービスが提供するアプリをスマートフォンにインストールし、手順に従うだけで利用できる。ただ多くのサービスは説明が外国語であったり、料金がドルやユーロなど外貨建てだったりするので、日本人が利用するには若干ハードルが高い。
それ故日本人なら「Ubigi(ユビジ)」が最も利用しやすいだろう。Ubigiを運営しているフランスのTransatel(トランザテル)はNTTグループの企業ということもあり、専用アプリが日本語化されている。加えて料金も円建てであるなど、日本人に分かりやすい仕様となっている。
筆者もスペイン滞在中、もう1台のスマートフォンにUbigiのeSIMを入れて使っていた。スペインのみで利用できる30日間・最大10GBの買い切り型のプランを購入した。料金は2600円。レンタルWi-Fiルーターなら約2日分の料金だ。この料金でスペイン滞在中の約1週間のデータ通信を賄えたのだからお得感は非常に高い。