中国による台湾侵攻リスク、北朝鮮が発射するミサイルの脅威拡大など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、日本の防衛体制の強化が喫緊の課題になっている。その大きなポイントの1つが、AI(人工知能)、ドローン、宇宙といった民間の先端技術の取り込みである。現在も続くウクライナ戦争では、こうした民間の先端技術が戦場で重要な役割を担っていることが示されたからだ。本連載では、新たな脅威に対抗するための防衛テック、さらには重要インフラなどを守るための監視・警備テックなどの最前線を追う。

沸騰!防衛テック
目次
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キーワードは「無人防衛」、防衛省が日本版DARPA設立へ
日本の安全保障を取り巻く環境が厳しさを増している。現実味を帯びてきている中国による台湾侵攻、北朝鮮のミサイルの脅威拡大、そしてロシアによるウクライナ侵攻で見えた新しい戦争の形。これらが、日本の防衛力に抜本的強化を迫る。
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防衛技術だけでは稼げない、無人監視艇技術が自動運航水上バスに
ジャパンマリンユナイテッド(JMU)子会社で防衛装備品を手掛けるJMUディフェンスシステムズ(京都府舞鶴市)は2023年3月、海上自衛隊の新型多機能護衛艦「もがみ」に搭載する自律型の無人水上艇「USV(Unmanned Surface Vehicle)」を納入した。「国産で実用段階のUSVを製造し…
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1000機超の低軌道衛星でミサイル監視の大構想、光リンクの実証開始へ
現在使われている電波と比較して高速・大容量の通信が可能なうえ、国際的な周波数調整が不要、秘匿性が高いなど多くのメリットを持つ光衛星通信の、本格的な実用化に向けた大規模な実証実験が始まった。
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重要インフラ攻撃ドローンを撃退、三菱電機が電波妨害装置
米ABC Newsは2021年11月、米国ペンシルベニア州にある変電所の近くで2020年7月に墜落したドローンは、変電所の電子機器を破壊するために飛ばされたものである可能性が高いと報じた。このドローンは中国DJIのマルチコプターを改造したものだった。
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川重が新技術満載の自律航行潜水機、ロボアームで海中構造物を検査
川崎重工業は2023年、海底パイプラインの検査業務を担う英Modus Subsea Services(モダスサブシー・サービス)に、世界初の検査用ロボットアームを搭載した自律型無人潜水機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)「SPICE」を納入する。
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「ドローンが主役に」「戦場のウーバー」、元防衛装備庁長官が語る技術転換
元防衛装備庁長官で、現在は「防衛技術ジャーナル」を発行する一般財団法人防衛技術協会理事長の渡辺秀明氏に、ウクライナ戦争で見えた新しい戦い方や日本の防衛が学ぶべきことなどについて聞いた。
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陸・海・空の自律無人機で大規模監視の三菱重工新システム、劇的省人化
三菱重工業と、石油・天然ガスの開発や生産を手掛けるINPEXら4社は2022年12月22日、INPEXが所有する新潟県柏崎市のガスパイプライン沿線付近で、三菱重工の「CoasTitan(コースタイタン)」を使ったドローンによる監視業務の実証試験を実施した、と発表した。CoasTitanは複数の自律…
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闇夜で10km先の船を識別、キヤノンが世界初のSPADセンサー監視カメラ
月も出ていない星明かりの夜。人間の目にはほとんど何も見えない10km先の沖合を進む船をも識別できる、これまでにないカメラが間もなく登場する。キヤノンが2023年内の発売を目指して開発を進めている、世界初のSPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサーを搭載したレンズ…
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宇宙防衛でIHIらが小型衛星開発へ、不審な衛星を静止軌道から接近監視
2022年1月、中国の実験衛星「実践21号」が、既に廃棄扱いとなっていた中国のナビゲーション衛星「北斗2号」に接近して捕捉、静止軌道から「墓場軌道」(役目を終えた衛星を移動させるためのより高度が高い軌道)へと引きずり込むことに成功した。
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不審ドローンを網で“生け捕り”、東芝が世界初の防御システム
不審なドローン(無人航空機)が警戒空域エリアに侵入してきた。すると、配備された対策用のドローンが離陸して不審ドローンを自動で追尾。次の瞬間、対策用ドローンはネット(網)を発射して不審ドローンを“生け捕り”。指定の場所に安全に下ろして帰還していった・・・・・・。
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無人機が僚機・AIが相棒に、新型戦闘機は先端半導体が必須に
古谷知之氏 慶應義塾大学総合政策学部教授
中国による台湾侵攻リスク、北朝鮮が発射するミサイルの脅威拡大など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、日本の防衛体制の強化が喫緊の課題になっている。
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ドローン・SNS・エッジAI・OSS、軍民技術融合がウクライナ戦争で顕著に
古谷知之氏 慶應義塾大学総合政策学部教授
中国による台湾侵攻リスク、北朝鮮が発射するミサイルの脅威拡大など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増すなか、日本の防衛体制の強化が喫緊の課題になっている。